2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Historical and Social Transformation of Controversies regarding Euthanasia/Death with Dignity; The Impact of Christianity within Bioethics and Thanatology.
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15K02023
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大谷 いづみ 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30454507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 美季 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (00624868)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フレッチャー / 安楽死 / 尊厳死 / ホスピス / 優生思想 / キリスト教 / ナチス安楽死政策 / ハダマー精神病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年に入り戦後日本の優生保護法による強制不妊手術への提訴があいつぐ一方、超高齢社会と他死社会の到来により台湾に次いで韓国でも「尊厳死」法が成立し、安楽死・尊厳死の淵源とキリスト教の関係を検討する本研究も、日本だけでなく東アジアにおいてオンタイムの意味をもつものとなった。 これらの社会情勢を踏まえ、最終年度である2018年度は、これまでの調査結果を検討しその知見を次期研究に発展的に展開する作業に当てた。結果、本研究が焦点に当ててきたジョセフ・フレッチャーの来歴とその安楽死思想の変遷とキリスト教の相剋をアメリカ精神史において検討することで、日本という非キリスト教圏における安楽死論の変遷の意味を浮き彫りにするとの仮説をもって次期研究につなげることとなった。研究分担者の川端は日本の安楽死・尊厳死論につながる文化的・社会的背景について、近代日本の国民性言説および教育の領域から検討し、本課題の深化発展に貢献した。 これらの研究成果について、研究代表者である大谷は、欧米の安楽死最前線を取材し第40回講談社ノンフィクション賞を受賞した宮下洋一氏を招いた公開シンポジウムにおいて、「死ぬ権利」の合法化が、十代~三十代の死因第一位を自殺で占める日本の若者たちに与える影響を指摘した。また、尊厳死法の成立した韓国の障害学会定例会で依頼講演を受けるなど、一般市民や障害当事者に向けて研究成果を還元した。研究分担者である川端は、関連主題について諸学会で旺盛な発表を行った。さらに、大谷が電動車いすを常時使用しているがゆえにぶつかる移動アクセシビリティについて、2016年に本科研で行ったドイツ・ザクセンハウゼン強制収容所とハダマー精神病院の調査のスピンオフ研究ともいえる「ハンドル形電動車いす利用者をめぐる実態と法制度――日本・ドイツ・韓国を中心に」を『人間科学研究』38号において成果発表した。
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Research Products
(10 results)