2015 Fiscal Year Research-status Report
アラウィー派主要教義と宗派対立に関する思想史的研究
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15K02070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 達也 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40383385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70152840)
柳橋 博之 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70220192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アラウィー派 / ドゥルーズ派 / イスマーイール派 / シーア派 / 十二イマーム派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、いまだに評価が確定していない『アラウィー派の遺産シリーズ』の内容を分析し、それを同じレヴァント地方において同時代に活動し、思想的にも類似しているドゥルーズ派の聖典記述と比較した。ドゥルーズ派の聖典(特に後半部)もまだ充分に研究されていないが、対立しながらも類似している両派の思想を比較することで、初期アラウィー派の思想とドゥルーズ派との影響関係を明らかにするだけでなく、『アラウィー派の遺産シリーズ』に収録された文書群を同時代の状況に位置づけ評価できると考えたからである。 以上のような目的意識に基づき、本年度は『アラウィー派の遺産シリーズ』内のテクスト分析とドゥルーズ派聖典のテクスト分析を同時に進めてきたが、前者についてはまだ分析の途上にあるため口頭発表や論文という形で成果を発表することはなかった。後者については前年度までの研究の延長上にあるものでもあるので、3回の研究発表と一つの論考においてその成果を発表することができた。なお、研究分担者である鎌田はシーア派哲学と他者との共生について研究し、その成果を発表した。同じく研究分担者である柳橋は、今年度は成果の公表はなかったものの、少数派に関連する法学文献の分析を進めた。 欧米または中東での資料収集もおこなう予定であったが、欧米でのテロや現地での情勢悪化により断念せざるを得なかったが、基本的な資料はすでにそろえている上に、国内の書店を通じて現地で出版された資料をある程度入手できたので、大きな問題にはならなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テクストの読み込みは順調であり、アラウィー派とドゥルーズ派の比較も進んでいる。現地と欧米での資料収集はできなかったが、日本の書店を通じてある程度の資料は得られたのであまり問題にはならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に計画は進んでいるので、基本的に当初の予定通り進めていきたい。ただし、ドゥルーズ派との比較は有益な知見をもたらしてくれることが分かったので、当初はそれほど重視していなかった両派の比較により重きを置いていきたい。
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Causes of Carryover |
研究上必要な機器を購入しようとした際、同じスペックで極力廉価な機械を購入するよう努力した結果、想定よりも経費が小さなものになってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者および研究分担者の3名は文献研究者であるため、科研費ではまかないきれない書籍代については私費で購入している。今年度使い切れなかった額は5000円以下と比較的少額であり、次年度使用額はより多くの書籍を購入するために使用したい。
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Research Products
(5 results)