2016 Fiscal Year Research-status Report
アウグスティヌスにおける言語理論に基づく神学の形成
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15K02073
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
佐藤 真基子 富山大学, 教養教育院, 教授 (30572078)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教父思想 / アウグスティヌス / キリスト教神学 / 古代末期 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画どおり、アウグスティヌスの比較的後期の著作分析を中心に、彼の言語理論と人間論および神学的議論との関係の分析を行った。本年度ははじめに、アウグスティヌス『三位一体論』における「言葉」の概念の三区分について分析し、本書におけるアウグスティヌスの言語論の特徴を示すとともに、人間のつく嘘と神のそれとの違いについての彼の理解を検討した。そしてその研究成果を、5月にアメリカ・シカゴで開催されたThe North American Patristics Society 年次学会で発表した。さらに8月には、アウグスティヌス『神の国』第一巻および『嘘論』の議論分析をもとに、彼の倫理思想の背景に新プラトン主義に由来する心身理解があることを明らかにし、その成果をデンマーク・セナボーで開催された国際学会 BEYOND WE AND THEM: DECOLONIZING GRECO-ROMAN AND BIBLICAL ANTIQUITIES において発表した。9月には、アウグスティヌスにおける自己愛の概念分析を行い、彼の初期著作と後期著作の間の議論の変化、彼の人間観とキリスト論との関連について検討し、その成果をAsia-Pacific Early Christian Studies Society第10回年次学会で発表した。年度末の2月には、本年度8月と9月に国際学会で発表した研究成果をもとに、上智大学中世思想研究所主催講演会「教父の聖書解釈から考える『原罪と女性』」において講演を行った。9月に学会発表した研究成果については、その後スペインの学会誌La Ciudad de Dios に掲載が決定した。(2017年4月に刊行済。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載通りのペースで研究を進めることができている。国際学会への参加を通して、国内外の研究者らとの意見交換、情報収集、研究の新たな方向性の発見、成果発表の機会獲得ができ、本研究の遂行に大いに役立てることができている。さらに、これらの活動を通して得られた国際的な研究交流を土台に、7月には海外の研究者を招聘して国内でシンポジウムや講演会を開催することもできた。こうした活動は、本研究計画のみならず、本研究に基づく今後の発展的研究に寄与するもので、有益な成果を得つつある。研究発表とならび計画していた翻訳作業については、若干予定よりも進展が遅れているが、次年度中に遅れを取り戻せる程度のものである。本年度は、当初予定していなかった翻訳の出版機会も得たため、本研究最終年度までに、その成果の発信が予定よりも充実したものになる見通しを得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究初年度である前年度、および本年度において、ほぼ当初の計画どおりに研究を進めることができたので、本年度も当初の計画にそくして研究を進めるとともに、当該研究の最終年度であるため、3ヵ年の研究成果の総括とその発信を行う。
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Research Products
(10 results)