2017 Fiscal Year Research-status Report
近代大阪の在野儒学者の研究―その経学と社会政治活動―
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15K02093
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
矢羽野 隆男 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (80248046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呂 順長 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (40388591) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 山本梅崖(憲) / 藤澤南岳 / 泊園書院 / 在野儒学者 / 自由民権運動 / 儒教 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の計画に沿い、文献複写費が軽減されたことを受け、2017年10月28日~31日に研究協力者(呂順長氏)の在籍する浙江工商大学(中国杭州市)東亜語言文化学院が開催する国際学術シンポジウム「浙江と東アジア---新史料と新視点」に参加し、「自由民権派の儒者山本梅崖と変法維新派―梅崖の自由観とその経学的根拠―」の発表を行った。 また、山本梅崖、藤沢南岳ら大阪在野儒学者の関連資料の収集のため、下記の国内出張を行った。まず、2018年2月15日~18日に高知県高岡郡佐川町において、名教館に展示の梅崖遺品、同町青山文庫館蔵の梅崖遺品などの現物調査、高知市立自由民権記念館蔵「山本憲関係資料」の閲覧・写真撮影を行った。また、2018年3月4日~6日に、東京大学明治新聞雑誌文庫に所蔵の新聞・雑誌記事を閲覧し、山本梅崖が、明治12年(1879)28歳~25年(1892)41歳の時期に筆を振るった新聞を調査した。 高知での調査により、梅崖が青年期に数年間籍を置いた英学塾「育英義塾」の当時の状況、梅崖の洋学の実力などが明らかになった。また東大での調査により、これまで存在が知られていなかった梅崖の署名記事が確認できた。社会政治活動が後の儒学研究につながる過程を明らかにできる資料で、今後の論文執筆に有用な成果が得られた。 29年度は、梅崖の〈経学・西洋学受容分野〉について、梅崖の『論語私見』および『梅清處文鈔』所収「自由解」「自由郷記」の会読結果をもとに、梅崖の論語解釈、特に「自由」観について西洋学との差異に注意しつつ考察をすすめた。これは〈社会政治分野〉の山本梅崖と変法派知識人との交流記録(梅崖著『燕山楚水紀遊』所載)と関連させ、論文1篇を執筆した。山本梅崖、越智宣哲の釈奠に関しても、上記の論文の一章において紹介した。ただし、梅崖著『論語私見』の論文の執筆を予定していたが、執筆には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
梅崖『論語私見』の論文執筆は29年度の予定であったが、検討すべきことがらがあり、若干計画が遅れた。藤澤南岳『中庸家説』については精読を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、年度前半に〈経学・西洋学受容分野〉の主要テーマである梅崖著『論語私見』について、これまでの学会、シンポジウムにおける検討の結果を踏んで、梅崖の経学の集大成としての特質を論文として公表する。また、年度後半には、当初の予定にほぼ沿う形で、藤澤南岳『中庸家説』について精読の成果を踏まえ、その特質を論文として公表する。 その他、これまで未確認であった山本梅崖の関係資料の収集のため、高知市立自由民権記念館、京都大学人文科学研究所などの機関を調査する予定である。
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Causes of Carryover |
資料複写費が当初計画よりも低かったため、昨年度は発表・資料収集の旅費に充当した。今度も資料複写費を研究協力謝礼や旅費に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)