2017 Fiscal Year Annual Research Report
Collage in Fashion and Textile Design
Project/Area Number |
15K02149
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
河本 真理 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (10454539)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コラージュ / 服飾 / ジェンダー / ミリアム・シャピロ / 金銀襴緞子等縫合胴服 / 西本願寺本三十六人家集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、服飾デザインにおけるコラージュに着目し、日本・東アジア・西洋に見られる作例を比較するとともに、コラージュや服飾(装飾)に内包されるジェンダーの構造を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は、ラトガース大学ミリアム・シャピロ・アーカイヴで、シャピロの手稿を含む貴重な資料を調査し、アーカイヴの研究員と意見を交換した。この調査で得られた資料や知見をもとに、コラージュや服飾(装飾)に内包されるジェンダーの構造やハイ・アートとの関係についての考察をさらに深めることができた。シャピロらの「ファマージfemmage」の戦略は諸刃の剣であり、女性の伝統的な手工芸の称揚によって女性性を強調すれば、女性の枠組みを固定化しかねず(本質主義に陥る危険)、かと言って男性原理に基づくハイ・アートの言語で語れば、その原理に回収されてしまいかねないという、ジェンダーをめぐるアポリア(難問)が浮かび上がる。これらの考察に基づく論文「美術史学/フェミニズム/ポストコロニアリズムのインターフェース」が、『西洋美術研究』第20号に掲載予定である。 シャピロの《キモノの解剖学》の参照源の一つであり、上杉謙信所用と伝えられる金銀襴緞子等縫合胴服(上杉神社)や、それに先立つ日本の「継ぎ」(=コラージュ)の例として挙げられる『西本願寺本三十六人家集』(12世紀)についての考察は、日本経済新聞朝刊文化欄の連載「美の十選 コラージュの挑発」において発表する機会を得た。日本の糞掃衣や百徳着物、中国敦煌の袈裟(大英博物館)、韓国のチョガッポについても、宗教的・民俗学的視点を含めて考察した。 また、服飾デザインと関係の深いブック・デザインに関して、論文「コラージュ/女性/戦争―ロシア・アヴァンギャルドの女性芸術家たち(アマゾネス)とブック・デザイン」を『西洋美術:作家・表象・研究―ジェンダー論の視座から』に寄稿した。
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Research Products
(4 results)