2015 Fiscal Year Research-status Report
舞台人の健康的な発声:歌・台詞における科学的見地からの考察
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15K02199
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
萩原 かおり 昭和音楽大学, 音楽学部, 准教授 (50649449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽石 英里 昭和音楽大学, 音楽学部, 教授 (70350684)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発声 / ミュージカル / 俳優 / 喉頭 / 横隔膜 / 音響分析 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
1.舞台俳優、ミュージカル俳優、及びその比較対象として舞台等未経験者のMRIによる撮像実験を行った。詩の朗読、台詞の朗読、唱歌の歌唱(被験者共通の調、及び各自の声質に合わせた調の2種)を行い、通常通りに発声したもの、胸部への刺激を与えた後に発声したものについて、それぞれ声道と横隔膜に焦点を当てる事で、1被験者に付き16種の撮像実験を行った。また合わせて、同じ内容による音響分析及び聴覚印象評価の為の録音も行った。 2.発声における意識、問題点に関するアンケートを作成し、各自の発声、発話時における身体的感覚、訓練の際の留意点、舞台上などで声が出なくなった経験の有無、ある場合にはその治療法等についての調査を行った。この調査によって、舞台俳優は少なからず声に関する悩みを抱えていることが明らかとなり、「舞台人の健康的な発声」を考察することは、我が国の舞台芸術発展の上で大いに意義がある事を再認識した。 3.胸部への刺激後の聴覚印象及び発声感覚における変化は明らかであったが、MRI撮像時における観察により、撮像部位や方法の再検討、立位によるMRI撮像の可能性を探る事によって、より確実なデータが得られる可能性を感じた。 4.研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者が集い、今回の実験を踏まえての今後の展望について話し合いを持った。 5.米国の大学におけるミュージカル指導者とのディスカッションの機会を持ち、それぞれの国におけるミュージカル歌唱の問題点について論じ合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喉や胸の開きという歌手の身体感覚の可視化について様々な方法を検討する中でMRI撮像の時期が遅くなり、その分析に手間取ってはいるが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.音声、アンケートの採取を更に積極的に行い、データの定量化を計る。 2.27年度に得た結果を基にMRI撮像の方法を検討し、最適な方法による撮像実験をなるべく多くの被験者の協力を仰ぎ行う。 3,MRI撮像と合わせ、超音波検査法、Wave System検査法等による測定も試みる。 4.日本人の発声における特性と問題点を明らかにし、日本語での理想的な発声法を研究する。 5.参加者へのフィードバックと意見交換を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
27年度は画像分析に遅れが生じたため、アシスタントの謝金が繰り越された。また学会への参加機会がなかったため、その旅費についても繰り越しがあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は多くのデータの採取と共に分析を進め、学会発表にも積極的に取り組む予定である。
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