2015 Fiscal Year Research-status Report
デジタルアーカイブ構築による人文書院戦前期資料の多面的文化史研究
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15K02241
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
一柳 廣孝 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40247739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 英彦 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, その他 (10712028)
菊地 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80314277)
吉永 進一 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90271600)
石原 深予 京都府立大学, 文学部, 研究員 (10748320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本心霊 / 書簡や手紙類 / 会員名簿や収支簿 / 資料の整理と修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は戦前期人文書院資料を、明治期から昭和初期にかけて刊行されていた機関紙「日本心霊」(人文書院の前身である霊術団体、日本心霊学会の機関紙)と、それ以外の資料(団体宛の書簡・手紙類、出版事業関連の書簡・手紙類、団体の運営に関わる収支簿関連の資料、会員名簿、機関紙に使用されたと思われる写真など)に分類した。前者については、劣化が甚だしく、そのままの形では判読できない状態だった紙資料を、大入(株)に依頼して、全体の約3分の一の分量を対象に、裏打ち処理、脱酸素処理をおこなった。その結果、資料の状況が著しく改善され、読解と分析に耐えうる状況となった。この段階で、今まではっきりとわかっていなかった霊術団体の組織的な運用と発展のプロセスが、具体的な材料をもとに検討しうるという見通しが明瞭となった。予算の関連で全体を補修することは今年度も難しいが、補修の終了した資料から、随時詳細な検討を加え、分析を進めていく予定である。また後者の資料群については、京都大学人文科学研究所に運び込み、二度にわたって資料の整理とデジタル処理を進めた。この段階で、未発表の人文書院宛太宰治書簡や多数の歌人の書簡など、日本近現代文学研究において大きく貢献することが期待できる、新たな資料が複数発見されている。また、会員名簿や収支関連書類の発見によって、近代日本を代表する霊術団体のひとつだった日本心霊学会の、戦略的な足取りを押さえることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は人文書院戦前資料の全体像を押さえ、個々の資料を整理し、判読不可能な資料については修復を施すことを中心に進めたが、機関紙「日本心霊」については、全体の約三分の一の資料修復が終了し、また書簡や手紙、会員名簿や収支簿については、戦前期のほぼすべての資料のデジタル化が完了した。昨年度において、基礎的な研究を進めるための土台が、ほぼ整ったと考えられるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年修復と整理を終えた「日本心霊」、および戦前期書簡等資料について分析を進めていくとともに、引き続き「日本心霊」の修復作業を進め、明治期から昭和初期における日本心霊学会の活動の全体像を把握すべく、多方面からの考察を深めていく予定である。
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Causes of Carryover |
資料整理については菊地の所属する京都大学人文研究所で、また次年度の打ち合わせに関しては一柳の所属する横浜国立大学で行ったため、菊地、一柳の旅費は使用せずにすんだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は資料分析のために京都でまとまった会合を行う予定なので、そちらに予算を回すことにした。
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Research Products
(9 results)