2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02260
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
井上 隆史 白百合女子大学, 文学部, 教授 (10251381)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三島由紀夫 / 世界文学 / 戦後文学 / 全体小説 / 長篇小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は戦後派作家の主要長篇小説の創作過程の調査分析を踏まえ、ジャンルとしての戦後長篇小説を、日本文学、世界文学の大きな観点から位置づけ直そうとするものである。 本年度の成果としては、第一に、国内外から30名以上の登壇者を得て2015年度に開催した「国際三島由紀夫シンポジウム2015」の成果を編集、拡張して『混沌と抗戦―三島由紀夫と日本、そして世界』(水声社、井上隆史他編)として書籍化した。これについては「毎日新聞」で特集を組んで紹介されたり、関連のセミナーが開催されるなど、書籍の内容を多くの読者に向けて発信することができた。第二に、世界の長篇小説が提起する問題を総合的に考察することを目的として、本研究代表者の勤務校である白百合女子大学の大学院で、学外から多くの専門家を招く連続セミナーを実施した。この成果についても著作として刊行すべく編集を進めている(弘学社)。第三に、現代日本文学の担い手として最重要人物の一人であり国際的にも評価の高い津島佑子が惜しまれつつ亡くなったことを受けて、国際追悼シンポジウムを企画、開催した。これについても、現在著作化を進めている(水声社)。 なお、上記と並行し三島由紀夫と親交の深かった詩人高橋睦郎氏の論考を集めた『在りし、在らまほしかりし三島由紀夫』(平凡社)の編集に協力し、同書に解説を執筆したほか、2015年度、メキシコで開催された三島由紀夫シンポジウムの内容について雑誌「国文白百合」で紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2015年度に国内外で開催された三島由紀夫シンポジウムが、三島研究に留まらない広く深い射程を有していたため、その成果をまとめることで、研究を大きく前進させることが出来た。 また、本研究課題の企画時には予定されていなかった津島佑子の追悼シンポジウムも、たいへん充実した内容であった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初から計画していた国際シンポジウムの開催に向けて研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
2015年度、当初計画以上に研究が進展したため、前倒しで予算を消化した影響による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度の計画執行の妨げにならないように、2016年度は新たな予算消化を極力抑えた。その結果、経費不足などの問題は生じないと考える。
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