2017 Fiscal Year Research-status Report
新資料川端康成「生徒の肩に柩をのせて」の関係資料収集と翻刻整理を目的とした研究
Project/Area Number |
15K02282
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮崎 尚子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30611652)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 川端康成 / 石丸梧平 / 伊原青々園 / 雑誌「団欒」 / 茨木中学校 / 倉崎仁一郎 / 旧制中学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の主な研究内容は資料の収集整理と分析である。 ①資料の整理:茨木中学校加藤逢吉校長の日記を寄贈されている分全てを複製した。明治31年から昭和14年まで(明治38年と39年は最初から欠本)の広範囲に及んだが、全てトリミングを行い改めてスキャナーで画像を取り込み電子データとして保存した。プリントアウトした物を100枚のクリアファイルに入れて製本し複製を作成した。この41冊分の日記の複製と電子データを大阪府立茨木中学校(現茨木高校)同窓会久敬会に郵送で寄贈した。尚、この作業は本学大学院生の協力を得て行った。この日記は中学校創設時期のものなので、多方面で活用が期待される資料である。②資料の調査:茨木高等学校資料室、早稲田大学図書館、松江にて行った。茨木高校資料室においては加藤校長寄贈の日記とアルバム、絵葉書の撮影を行い、川端康成関係の記事が掲載されている会報の撮影を行った。その他全会報の目次を撮影した。(第39号は欠本)早稲田図書館では伊原青々園宛の書簡の中から茨木中学関係者の物を選りだし撮影を依頼した。松江市においては現地の協力者とともに川端康成の恩師倉崎仁一郎の調査を行った。倉崎仁一郎の勤務していた母衣小学校の校長と会い、勤務記録を見せてもらった。また、雑賀小学校の先人資料館から当時の松江の教育状況について調査した。仁一郎の兄の金之助と松江中学校で同期だった若槻礼次郎についても調査した。小泉八雲との関連を調べるために資料館に行ったが、交流を示す決定的な証拠は無かった。③発表:川端康成康成「生徒の肩に柩をのせて」の背景や登場人物に関して、川端康成への影響について発表した。特に最年少のヒロインのモデルについては強調した。また、新たに会報から倉崎仁一郎50回忌の記事を見つけ、川端がご仏前を寄せたことも判明した。これらの内容を学会で発表した。 以上の通り概ね計画通り進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の主な研究内容は資料の収集整理と分析である。 ①資料の整理:茨木中学校加藤逢吉校長の日記を寄贈されている分全てを複製していた。明治31年から昭和14年まで(明治38年と39年は最初から欠本)の広範囲に及んだが、全てトリミングを行い改めてスキャナーで画像を取り込み電子データとして保存した。プリントアウトした物を100枚のクリアファイルに入れて製本し複製を作成した。この41冊分の日記の複製と電子データを大阪府立茨木中学校(現茨木高校)同窓会久敬会に郵送で寄贈した。尚、この作業は本学大学院生の協力を得て行った。②資料の調査:茨木高等学校資料室、早稲田大学図書館、松江にて行った。茨木高校資料室においては加藤校長寄贈の日記とアルバム、絵葉書の撮影を行い、川端康成関係の記事が掲載されている会報の撮影を行った。その他全会報の目次を撮影した。(第39号は欠本)早稲田図書館では伊原青々園宛の書簡の中から茨木中学関係者の物を選りだし撮影を依頼した。松江市においては現地の協力者とともに川端康成の恩師倉崎仁一郎の調査を行った。倉崎仁一郎の勤務していた母衣小学校の校長と会い、勤務記録を見せてもらった。また、雑賀小学校の先人資料館から当時の松江の教育状況について調査した。仁一郎の兄の金之助と松江中学校で同期だった若槻礼次郎についても調査した。小泉八雲との関連を調べるために資料館に行ったが、交流を示す決定的な証拠は無かった。③発表:川端康成「生徒の肩に柩をのせて」の背景や登場人物に関して、川端康成への影響について発表した。特に最年少のヒロインのモデルについては強調した。3つの学会で発表した。 以上の通り概ね計画通り進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究の最終年であるので全ての点で総括をする予定である。 ①資料の整理:茨木高等学校資料館で残りの撮影を行い、分析調査を続ける。この他目次だけ撮影を行っていたので可能な限りで会報の印刷を行う。茨木中学校初代校長加藤逢吉宛の絵葉書の印刷も引き続き行う。夏季休業中に調査を行い、滞在時間でできる限りの撮影を行う。川端康成の日記によると、彼は加藤逢吉に手紙を書いている。加藤逢吉宛の書簡も寄贈されているのでその確認を行う。会報の記事も引き続き調査を行う。 ②資料の調査:引き続き茨木高等学校資料室と早稲田大学図書館での調査を行う。松江市の協力者と倉崎家の方ともに更に倉崎仁一郎の調査を行う。小泉八雲との関係についても別の角度からアプローチする。夏季休業中に全ての調査を行う予定である。茨木高等学校では滞在時間でできる限りの史料撮影を行う。川端康成の日記によると、卒業後に加藤逢吉に手紙を書いている。加藤逢吉宛の書簡も寄贈されているのでその確認を行う。倉崎仁一郎の記事がないか、会報も引き続き調査を行う。早稲田大学図書館においては倉崎家の遺族を中心に調査を行う。松江市の調査は引き続き現地の協力者とともに行う。 ③発表:川端康成学会の例会(8月)で上記の調査結果と考察を発表する予定である。この他6月12月の例会にも参加して、随時川端康成研究の情報収集を行う。その報告内容の成果を論文として同学会学会誌に投稿する予定である。 以上のような計画で進めていく。
|
Causes of Carryover |
平成30年3月20日に科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長が承認された。(平成30年1月26日申請:事由は熊本地震による計画の変更) ①資料の整理:茨木高等学校資料館で残りの撮影を行い、分析調査を続ける。この他目次だけ撮影を行っていたので可能な限りで会報の印刷を行う。加藤逢吉宛の絵葉書の印刷も引き続き行う。②資料の調査:引き続き茨木高等学校資料室と早稲田大学図書館での調査を行う。松江市の協力者と倉崎家の方ともに更に倉崎仁一郎の調査を行う。小泉八雲との関係についても別の角度からアプローチする。③発表:川端康成学会の例会(8月)で上記の調査結果と考察を発表する予定である。報告内容を論文として学会誌に投稿する予定である。 以上の計画で進めていく予定である。
|