2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02316
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
末廣 幹 専修大学, 文学部, 教授 (70264570)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 演劇 / 政治 / 王政復古期 / 名誉革命 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、ジェイムズ二世が国王として即位した1685年から1695年頃までの時代の演劇に注目した。とくに、名誉革命という未曾有の政変について演劇はどのように表象したのかを具体的に検討した。とくに名誉革命後の1690年代に上演された芝居を包括的に取り上げ、政治的な機能の分析を行う。この時期に上演された演劇には、トマス・サザンの『妻たちの言い訳』のように、結婚生活の危機や破綻をドラマ化したものが数多く見られるが、そこで前景化されている夫もしくは妻の変節という主題が、当時は、ハリファックス初代伯爵が名誉革命を擁護して「変節漢」(trimmer)と非難されたように、名誉革命と関連して政治的な意味を帯びる可能性もあったことを検討した。さらに、この時代にもうひとつ人気を博した主題として、トマス・シャドウェルの『ベリー市』のように、親子の確執と和解という主題があるが、父と息子の和解というプロットも、名誉革命後には、父である君主と子である臣民の歩み寄りという政治的意味作用を帯びていた可能性を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公務のために、国内及び国外の調査に行けなかったために、王政復古期の政治資料や図版などの視覚的資料が揃っておらず、演劇テクストと王政復古期の政治状況との相関関係を、演劇テクストや視覚的資料の分析を通じてじゅうぶんに検討するまでには至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、国内及び国外の調査を積極的に行い、演劇テクストと視覚的資料の関連についての比較検討を深めたい。さらに、王政復古期の政治状況と演劇との関係について包括的な考察を行い、研究の総括を目指したい。
|
Causes of Carryover |
公務で多忙だったために、国内及び国外の調査旅行に行けなかったため。さらに、購入する予定でいた資料の刊行が延期されたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内及び国外の調査旅行を積極的に行う。さらに、購入を予定していた資料については平成29年度中の刊行が難しいと判断された場合には別の資料の購入を検討する。
|