2016 Fiscal Year Research-status Report
近代日英図像に見るanthropomorphic表象の変遷とエコクリティシズム
Project/Area Number |
15K02317
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
千森 幹子 帝京大学, 外国語学部, 教授 (20236821)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比較研究 / カルチュラルスタディーズ / エコロジー / 表象 / 図像 / エコクリティシズム / 擬人化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エコクリティシズムから、1850~1930年代に至る日英文学図像におけるanthropomorphic表象、特に、植物や物など人間以外の存在である自然に、人間的な感覚や感情・意味を読み取り、擬人化あるいは生命を付与する表象、を文学・美術・社会・子ども観等から考察する学際研究であり、カルチュラルスタディーズである。本研究では、植物(花や木々)や物(人形や日用品等)が、日英の子どもの挿絵と邦訳で、どのように擬人化され、この時期、変遷したのか、そこに埋め込まれたエコロジーに対する文化的意味を、創作の過程(テキストと挿絵)、日英の擬人化の歴史、技法(描写、構図、空間処理等)から探り、西洋的価値体系における自然観と日本の自然観の位相、人間と自然の対立融合共生の位相を、検証解明することを、目的とする。 本年度の実施研究としては、主として次の3点に要約される。1.海外調査:イギリス・ケンブリッジ大学図書館、ブリティッシュ・ライブラリー、アメリカ:プリンストン大学図書館、フィンランド:ヘルシンキ大学図書館などにおける、1850年から1930年代の子どもを対象にした擬人化表象図像作品などに関する研究調査、複写収集。2.国内調査:国内図書館等。3.イギリスの連携研究者であるイースト・アングリア大学クライブ・スコット教授との共同研究と討議。研究方針としては、英国の図版を中心に、擬人化のテーマ・対象に応じて、アメリカ・ヨーロッパの図版との比較研究をおこなうこととした。(夏季と春季休暇中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、二度の海外調査と連携研究者との共同研究など、おおむね順調に調査資料収集を行っている。ただ、国内調査と成果発表に関しては、次年度の課題となる。今年度は、別の研究課題である単著の執筆の関係で、本研究に関わる成果発表は、十分できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今年度が最終年度に当たるが、おおむね予定通りに進展している。初年度と次年度に研究調査できなかった資料を中心に、さらに、国内外で調査研究する予定である。従来の英国の図書館での調査研究(夏季と春季)に加え、アメリカのプリンストン大学図書館での追加調査(夏季)を予定している。英版資料、および同図書館が所蔵しているアメリカ、ヨーロッパ版資料の調査研究が目的である。その他、昨年度十分に時間の取れなかった国内調査(国際児童文学館、国会図書館などと、原画等を所蔵している美術館など)を行う予定である。昨年度は、他のプロジェクトの関係で、成果発表ができなかったが、今年度は収集調査した資料を分析し、途中の成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度計上していた資料のデジタル化とインデックス化に使用する経費の一部を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度、この経費を同経費に使用する予定。なお、デジタル資料を自分で作成した場合は、物品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)