2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02337
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
久保 拓也 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80303246)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 男性学 / 障害学 / マーク・トウェイン研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は資料の収集と精査を中心に行うこととなった。また同時に次年度の成果発表に向けて重要な準備期間とすることができた。海外での資料調査として、2016年8月に米国カリフォルニア大学バークレー校を訪れた。同大学に設置されているThe Mark Twain Papers & Projectにおいて、本研究課題の中心的な問題としている作家であるマーク・トウェインとウィリアム・ディーン・ハウエルズ、およびその周辺の人物が残した一次資料(書簡)を集中的に調査することができた。南北戦争後の,いわゆる「金メッキ時代」に特有の、投機による一攫千金を目論んだ人々の中で、「失敗」し続けたトウェインの兄、オリオン・クレメンズの関する記録はこの研究において重要な意味を持つことになる。本研究代表者はトウェインの人生に多大な影響を与え、ハウエルズとも交友のあったオリオンが残した手紙データのデジタル化を今年度も推進することができた。この作業の目的は(電子媒体あるいは紙媒体での)出版、およびデータベース化であるが、残りの手紙のデジタル化を早急に終了し、そのための準備を進める。 当研究の成果は2017年8月に開催される最新のマーク・トウェイン研究が多数発表される国際学会The Eighth International Conference of the State of Mark Twain Studies (米国ニューヨーク州エルマイラ、エルマイラ・カレッジ)において一部が発表されることが決定している。トウェインによる未発表作の翻訳も予定通りに進められている。できるだけ早期の出版を目指して次年度の準備を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の進捗状況は資料の収集と精査という点では順調な進展が示されたと考える。今年度は8月に実施した米国カリフォルニア大学バークレー校における資料調査で、同大学に附設されるマーク・トウェイン・ペーパーズのみで閲覧が可能な各種の資料を閲覧・精査することができた。当地で閲覧したマーク・トウェイン、そしてウィリアム・ディーン・ハウエルズとその周辺に関する資料の中でも、特に当研究にとって重要なものとなるのはトウェインの兄、オリオン・クレメンズに関するものであるが、そのオリオンが残した大量の書簡のデジタル化を、マーク・トウェイン・ペーパーズのスタッフの協力の下で推進できた。この資料は早期のデータベース化、および(電子、または紙媒体による)出版を目指しており、できる限り早期に完成させたい。またトウェインによる米国でも出版されていない作品の翻訳作業も継続して進めることができた。この作品も早期の出版を目指して今後も作業を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は成果の発表を中心に行う。2017年度は国際学会(The Eighth International Conference of the State of Mark Twain Studies. Elmira College, 米国ニューヨーク州エルマイラ市で開催) での研究発表に加えて国内外の学会誌にも論文を投稿する。また国内外の大学図書館における資料の収集と精査も継続しておこなう。特に一次資料のデジタル化はそれらを所蔵する大学図書間での滞在が必須であるため、今年度もできるだけ早期に行い、研究に適切に反映できるように入念な精査を行う。またトウェインの未発表作品の翻訳を完成させて早期出版への準備を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は残念ながら予定されていた海外取材旅行の時間を取ることが難しく、次年度へその機会を伸ばすことにしたため,残額が発生してしまった。与えられた研究費をより有効に使用させていただくためやむを得ず執行を次年度へ延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は成果発表のための海外出張に加えて、資料を収集・精査するための取材旅行(取材訪問地は米国カリフォルニア大学等の予定)をできる限り早期に実施する予定である。
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