2016 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ文学における平和への戦略ーー第二次世界大戦がもたらした文学的影響
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15K02340
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新田 玲子 広島大学, 文学研究科, 教授 (40180674)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Kurt Vonnegut / J. D. Salinger / 第二次世界大戦 / 戦争文学 / 平和文学 / 心理学 / ポストモダン |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、昨年度取りかかったKurt VonnegutのCat's Cradleに関する研究において、そのポストモダン的平和戦略について、Vonnegutの全作品を見据えながら、Vonnegutのフィクションに対する姿勢とポストモダン的直作姿勢が、戦争体験とどのように繋がっていくか、研究科の学生達も交えながら、議論を深めている。この成果は2016年度末までにまとめ、現在、2017年度にイタリアで開催予定のThe International Conference on Psychology and the Artsで発表予定である。 その一方、2016年度にフランスで開催された第33回The International Conference on Psychology and the Artsでは、J.D.Salinger and Warという題目で、サリンジャーの戦争に直接関係する作品全般を議論した。この研究は最後に行う予定であったが、新しい資料が入手できたこともあり、前倒しで行った。さらに、フランスでの国際学会において、サリンジャーの死後に公表され、それまで明らかにされていなかったサリンジャーの私生活に言及した新しい資料情報を踏まえ、様々な新しい意見を得ることができたので、帰国後、そうした意見も取り入れながら、資料を再度読み直して論を修正・補強したうえで、英語原稿として完成させ、2017年3月公表の『英語英文學研究』に掲載・公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度はCat's Cradleについて口頭発表をし、論文を公開する予定であったが、それが一年ずれこんだ。この点では遅れていると言えなくもないが、すでに論文は完成して、口頭発表の予定も立っている。一方、先に行うつもりだったSalingerの戦争作品を前倒しでまとめたことで、全体の研究分量のうちで消化した量はむしろ予定よりも多くなっている。従って、プラスマイナスゼロと判断してよいだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、2016年度に行う予定だったCat's Cradleについての口頭発表を行い、ピアレビューを受け、その後、論文として完成させ、公開する予定である。 これで研究材料として残っているのは Norman Mailerに関する研究であり、2018年度以降にこの研究を進める準備を行いたい。また、少し時間に余裕があるので、1950年代に活躍した他のユダヤ系作家、Saul BellowやBernard Malamudらの戦争関連作品にも目配りができるかどうか検討している。
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Causes of Carryover |
物品の購入金額が予定よりも低く、端数が出たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し金額は少なく、今年度の文具などの物品購入に充てる予定。
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Research Products
(2 results)