2016 Fiscal Year Research-status Report
英語圏カリブ・アフリカ文学の監獄と移動(不)可能性
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15K02352
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉田 裕 東京理科大学, 工学部教養, 講師 (20734958)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 監獄 / 移動 / 冷戦 / 脱植民地化と軍事化 / C・L・R・ジェームズ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、今研究課題において重要な幾つかのことを行なった。一つは、資料調査である。ニューヨーク市のコロンビア大附属図書館及びニューヨーク市のショーンバーグ・センターにて、C・L・R・ジェームズに関する資料の一部を収集してきた。特に、コロンビア大附属図書館のC・L・R・ジェームズ関連の資料は膨大なアーカイヴとして保存されているため、そのごく一部のみを見ることができたに過ぎなかった。それでも、メルヴィル論を執筆していた時期の前後、エリス島での収監時期に書いた手紙やFBIによるジェームズの追跡および調査についての資料の複写など、重要な資料を手に入れることができた。二つめは、国際学会にてC・L・R・ジェームズのメルヴィル論についての発表を行うことができたことである。2016年7月にニューヨーク州イサカのコーネル大学にて、ポスドクや院生を中心とするシンポジウムが開催されたのだが、そのシンポジウムのテーマである「翻訳」に合わせる形で発表した。これまで執筆を進めてきたC・L・R・ジェームズのメルヴィル論と、やはり別の形で研究を進めてきた沖縄の歌人である新城貞夫の仕事を、これまでは別個のものとして論じられがちであった太平洋および大西洋の脱植民地化のプロセスにおける冷戦化と軍事化が、文学を介して批判的に連繋するあり方として比較した。また、関連する業績としては、同じく2016年7月に東京外国語大学にて、アジア・アフリカ研究所共同研究の一環として、研究発表を行った(タイトルは以下。「人種と文化をめぐる冷戦:第1回黒人作家芸術家会議とリチャード・ライト,ジョージ・ラミング,ジェームズ・ボールドウィン」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、以前より予定していた本研究課題の重要な事項のいくつか、特に、資料調査と国際シンポジウムでの発表は、昨年度中に達成することができた。あとは、論文としてまとめ投稿することである。ただし、これは2017年3月までに行う予定だったので、確かに少し遅れている。目標としては、夏休み中に、この件は済ませるつもりである。現在のところ約7割は執筆済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度が最終年度となるので、やはり上述の通り、課題において進行している論文執筆を完成にまで持って行き、投稿することである。
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Causes of Carryover |
端数であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と合計して使用する。
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Research Products
(6 results)