• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

シェイクスピア・フォリオの書き込みに見られる17世紀の読書スタイル

Research Project

Project/Area Number 15K02359
Research InstitutionMeisei University

Principal Investigator

住本 規子  明星大学, 人文学部, 教授 (10247174)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2020-03-31
Keywordsシェイクスピア / 初期近代 / 書物 / 読者 / 書き込み
Outline of Annual Research Achievements

本課題はシェイクスピア・フォリオを中心として、現存するシェイクスピア戯曲の初期近代における出版物に残された当時の、特に17世紀の所有者/使用者(読者)の書き込みを読み解くことを目指しています。
本年度は、ニューヨーク公共図書館にて、ファーストフォリオ(F1)2冊、セカンドフォリオ(F2)10冊、サードフォリオ(F3)3冊、フォースフォリオ(F4)4冊、同図書館バーグ文庫にてF1を1冊、F2を2冊、F3を2冊、F4を2冊、モーガン図書館にてF1を2冊、F2を3冊、F3を2冊、F4を2冊、フィラデルフィア自由図書館にてF1、F2,F3,F4を各1冊、さらにはストラットフォード・アポン・エイヴォンのシェイクスピアセンター図書館にて、F1を1冊、F2を6冊(うち1冊は非完全本)、F3を4冊(うち2冊は非完全本)、F4を4冊 および、12冊の初期クオート本の閲覧調査を実施することができました。すべてのフォリオに何らかの書き込みが見られました。また、書き込みが作品テクスト部分にないコピーでも、作品によりページの摩耗の違いが観察されるものがあり貴重な資料となる可能性があることに新たに気づくことができました。
本課題にとってとりわけ注目すべきフォリオは、ニューヨーク公共図書館のF1のうちの一冊で、欄外の「名言なり」の意と考えられている'ap'という文字とテクストへの下線がセットになった書き込みを持つという点でも、複数サイズのページが混在するかたちで製本された寄せ集め本という点でもグラスゴー大学所蔵のF1によく似たケースであることが判明しました。コモンプレイシングマーカーは読者により様々な形をとり、しかもときどきで変化するゆたかな読書体験のあかしですが、その豊かな世界を記録する方法をみつけることに挑戦していきたいと考えています。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本年度の研究実施計画(1)~(5)それぞれについての判断は以下のとおりです。
(1)の各所蔵館にて閲覧調査と書き込み画像の採取には時間をかけることができ十分な量の情報を収集することができました。一方で、それらの転写作業は追いついているとは言えず、時間の不足は、(3)のMR774の研究にも及び十分な進捗は見られませんでした。
(2)読書法の研究では知見を積んできた効果で、分析しながら閲覧調査が可能になってきました。(4)のウェブサイト上の書き込み画像の調査はまだ始めたばかりですが、図書館サイトでの試みでは、実地調査対象を絞る契機となり方法の有効性が確かめられました。(5)では、明星大学所蔵のセカンドフォリオの一冊ごとの記録作成を進めています。今年度は20冊進められました。作業の性質上時間をかける必要があるため、進捗状況としては予定どおりと判断します。
研究全体の進捗状況としては、過年度より本課題の研究の一環で進めてきた初期近代の情報管理術についての著作の共訳書を、「訳者解題」の執筆を終了し、刊行することができたものの、直接書き込みについての論文発表には至ることができなかったことを踏まえ、遅れているという自己評価に至りました。

Strategy for Future Research Activity

最終年度となる今年度は、課題である17世紀読者が残した書き込みデータを採取できる可能性の高い、フォルジャー・シェイクスピア図書館で過去に調査し残したフォリオの閲覧調査に取り組みます。データの収集蓄積を生かした成果発表方法を探り、実現していくことに注力していきたいと考えています。そのほかの面では、計画書に記載した2019年度の研究実施計画に沿って実施していく予定です。

Causes of Carryover

主として、閲覧調査を目的として海外出張に使用いたします。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Book (1 results)

  • [Book] 情報爆発-初期近代ヨーロッパの情報管理術2018

    • Author(s)
      アン・ブレア著、住本規子、廣田敦彦、正岡和恵訳
    • Total Pages
      446ページ
    • Publisher
      中央公論新社
    • ISBN
      978-4120051104

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi