2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02373
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
高梨 良夫 長野県短期大学, その他部局等, 教授 (50163225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正規 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00219213)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エマソン / アメリカ超越主義 / 鈴木大拙 / 禅仏教 / 現代詩 / 21世紀 / 日米 / 世界文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究代表者高梨良夫の研究は、エマソンの思想の国境横断的な影響関係の視点から、エマソンの超越主義思想と鈴木大拙の禅思想との間の類似点、相違点についての比較的考察を中心に実施した。9月には渡米し、ハーヴァード大学図書館等で研究題目に関する研究調査を行い、またアメリカ人アメリカ思想・宗教研究者等と意見交換をした。また上京して、キリスト教神秘主義思想研究会に出席し、エマソンをキリスト教神秘主義思想のなかに位置付けようとした。さらに堀内正規が主催しているエマソンの原典を読む会にも参加し、アメリカ文学研究者達との意見交換を行った。研究業績としては、論文「エマソンと鈴木大拙―『東洋的な見方』を中心とする比較的考察」、また Oxford Research Encyclopedia of Literature掲載予定の“The Reception of Emerson and Thoreau in Meiji to Taisho Japan”の原稿の執筆をした。 研究分担者堀内正規は、現代におけるエマソン思想の可能性について考察し、論文「自己の美学と身体・力・普遍―エマソンの前期思想―」を著した。1月末から一週間ボストンに赴き、ハーヴァード大学ホートン図書館でエマソンの日記の実物を調査。詩人でブラウン大学教授のForrest Gander 氏と会い、エマソンに関するプロジェクトの打ち合わせをした。これは吉増剛造氏とガンダー氏という現代の日米の二人の詩人がエマソンについておこなうテキスト対話のプロジェクトである。他に、エマソンに関する一冊の研究書のために原稿を準備した。順調に行けば2016年度に刊行される予定。エマソンのテキストをアメリカ文学研究者たちと読む会(不定期)を主催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高梨、堀内は当初の計画にしたがい、アメリカでの研究・調査を実施し、アメリカ人研究者と意見交換をすることが出来た。またエマソンの読書会を開催し、意見交換を行い、二人ともにエマソンに関する論文を執筆し、研究成果を発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
高梨は、2016年5月にサンフランシスコで開催される米国アメリカ文学会全米年次大会で“Emerson and Daisetz Suzuki”を口頭発表し、それに加筆して日本ソロー学会英文論文集に掲載する予定。また"The Reception of Emerson and Thoreau in Meiji to Taisho Japan" は Oxford Research Encyclopedia of Literature (Digital Edition) に掲載される予定。さらにエマソン思想のグローバルな影響関係の視点から、エマソンと禅仏教との比較的考察、ヨーロッパのキリスト教神秘主義との関係の考察を中心に、エマソンの現代性の解明についても研究を広げる。 堀内は、日本ソロー学会英文論文集にエマソンの現代的意義に関する論文を執筆する。進行中のプログラムのため、引き続き吉増剛造、フォレスト・ガンダー両氏と連絡を取り合ってゆく。エマソンについての研究書を刊行して、エマソンの現代的意義について自らの考えを世に問いたい。
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Causes of Carryover |
高梨は平成28年度にアメリカで学会発表をするので、そのために当初請求額よりも幾分多い旅費を確保するため。 堀内に残額が出たのは、文献資料の選定を慎重にしているためで、翌年度に使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高梨は平成28年5月にサンフランシスコで開催される米国アメリカ文学会で口頭発表するために渡米し、研究調査、研究発表、米国エマソン学者との意見交換を行う。 堀内は平成28年度にガンダー氏がいるブラウン大学に行く可能性がある。また必要に応じて図書資料を購入する。
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Research Products
(2 results)