2017 Fiscal Year Annual Research Report
The transdisciplinary developement of existentialism : Jean-Paul Sartre and Italy
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15K02390
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
澤田 直之 (澤田直) 立教大学, 文学部, 教授 (90275660)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サルトル / イタリア / ヴィットリーニ / ローマ / マリオ・アリカータ / エンツォ・パーチ / フランコ・バザリア / カルロ・レーヴィ |
Outline of Annual Research Achievements |
1940年代から60年代までのサルトルとイタリア知識人との関係を、サルトル自身のテクストだけでなく、イタリア知識人たちのテクストなども渉猟することで、かなり具体的に跡づけることができた。まずは1945年の「現代」誌発刊当時から始まった作家エリオ・ヴィトリーニとの交流。これは、戦後すぐの時点で、戦勝国フランスと敗戦国イタリアという違いを超えて、知識人たちが同じ目標に向かって共闘する過程を明らかにしている。一方、カルロ・レーヴィとの交友は、国際的な次元での知識人会議、とりわけ東西作家会議などを支える人的ネットワークの構築のみならず、サルトル後期の主要概念である「独自普遍」が、イタリア文化との交流を通じて育まれていく経緯を垣間見せる。 一方、思想家たちとの交流では、イタリア共産党系の知識人との関係の重要性が改めて確認された。フランス共産党は、実存主義に対して、極めて冷淡かつ批判的だったが、イタリア共産党の指導者パルミーロ・トリアッティをはじめ、チェーザレ・ルポリーニ、マリオ・アリカータなどは、サルトルの実存主義をマルクス主義と両立するものとして評価し、サルトルを二度ローマに招き、討論会を行うなど、対話が盛んに行われた。この事実そのものは知られていたが、今回、周辺的なテクストを読解することで、交流と相互影響の実態がより具体的に明らかになった。とりわけ、哲学者エンツォ・パーチとの関係の重要性が判明し、相互の思想の発展に、人的交流が大いに寄与していたことを明らかにできた。また、精神科医フランコ・バザリアの例に注目し、サルトルの思想が、イタリアの精神医学に多大な影響を与えた可能性などについても展望を開くことができた。今後イタリア文化の専門家とも共同して研究を推進するための堅固な基盤的研究は十分になされたと言える。 今回の成果の一部は論文「サルトルとイタリア(2)」として発表した。
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[Book] 寛容とは何か2018
Author(s)
福島清紀, 澤田直著
Total Pages
389
Publisher
工作舎
ISBN
978-4-87502-492-7
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[Book] Philippe Forest, une vie a ecrire2018
Author(s)
Catherine Mayaux, Aurelie Foglia,, Anne-Gaelle Saliot, Laurent Zimmermann, Nao Sawada, Dominique Rabate, Fabien Arribert-Narce, Eric Marty, Olivier Belin, Aude Leblond, Pierre Brunel, Jean-Claude Pinson, Gabriella Bosco,Maire Snauwaert, Alexandre Geen, Tipaine Samoyault, et al.
Total Pages
341
Publisher
Gallimard
ISBN
978-2-07-275544-6
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