2016 Fiscal Year Research-status Report
江戸期~昭和前期の日露交流史の諸問題に関する実証的研究
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15K02403
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70162542)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日露交流史 / 日露関係史 / 白系ロシア人 / ゴンチャローフ / 志賀親朋 / 二葉亭四迷 / B.ピウスツキ / 亡命ロシア人 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は前年度の研究を続行し、その成果を踏まえながら、以下の諸点にも取り組んだ。
1. プチャーチン提督の秘書として1853年に長崎に来航した作家ゴンチャローフの『日本渡航記』にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2. 日本最初のプロのロシア語通詞・志賀親朋の生涯と活動 3. 市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦、嵯峨の屋お室など、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 4. 明治期に来日したコレンコ、グレー、ケーベルといった東京外国語学校、東京帝国大学、東京音楽学校のロシア人教師や、B.ピウスツキ、N.K.ラッセル、B.D.オルジフのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 5. 日本の環日本海地域、北海道と、極東ロシア、サハリンとの関わり 6. 日露戦争 7. 1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人の事跡調査 8. 日本におけるロシア語教育の歴史 9. 日露関係史に直接もしくは間接に必然的に関わってくる、樺太・千島交換条約と日露戦争の有する文化史的意義
日本国内外の研究者たちと緊密に連絡を取り合い、研究成果と情報の交換を積極的に行なった。埼玉大学図書館、国立国会図書館、外務省外交史料館、早稲田大学中央図書館などの図書館、史料館、研究機関での資料の調査・収集を行なった。また志賀親朋書翰の翻刻作業や、外務省外交史料館所蔵の膨大な量の史料のデータ・ベースを作成するためのエクセル入力作業のために研究補助金も使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初は平成27年度の課題として以下の8点を掲げていた。 1. プチャーチン提督の秘書として1853年に長崎に来航した作家ゴンチャローフの『日本渡航記』にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2. 日本最初のプロのロシア語通詞・志賀親朋の生涯と活動 3. 市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦、嵯峨の屋お室など、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 4. 明治期に来日したコレンコ、グレー、ケーベルといった東京外国語学校、東京帝国大学、東京音楽学校のロシア人教師や、B.ピウスツキ、N.K.ラッセル、B.D.オルジフのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 5. 日本の環日本海地域、北海道と、極東ロシア、サハリンとの関わり 6. 日露戦争 7. 1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人の事跡調査 8. 日本におけるロシア語教育の歴史 また平成28年度は以下の4点を研究課題として掲げていた。 1. 1865年の幕府遣露留学生たちのペテルブルグでの事跡とそのロシア観 2. 森鴎外、田山花袋、島崎藤村、国木田独歩、小栗風葉らによる、重訳を通じてのロシア文学の受容 3. 北洋漁業と日露関係 4. 近・現代日本文学の作品に表れたロシア及びロシア人のイメージ 以上のうち、この2年間で平成27年度の課題のほぼすべて、そして平成28年度の課題は2点について研究をさらに深化させることができた。その意味で本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究課題を推進するために、国立国会図書館、外務省外交史料館、早稲田大学図書館(以上東京)はもとより、横浜開港資料館(横浜)、北海道大学附属図書館、同大学スラブ・ユーラシア研究センター(札幌)、函館市立中央図書館(函館)、新潟県立図書館、新潟県立文書館(新潟)、福井県文書館、敦賀市立図書館(福井)、大阪府立図書館(大阪)、神戸市立中央図書館(神戸)、長崎県立長崎図書館(長崎)などの図書館、資料館、研究機関での資料の調査・収集と、長崎、函館、神戸、松山、新潟、敦賀、富士、下田などへの調査旅行も不可欠である。 また外国ではロシア、ポーランド、ウクライナ、チェコ、リトアニア、フランス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの当該分野の研究者たちと直接面談、もしくは郵便、メールなどで研究成果と情報の交換を行う。またロシア連邦国立文書館、ロシア国立図書館(以上モスクワ)、ロシア国民図書館、東洋古籍研究所、ペテルブルグ大学東洋学部図書館、ロシア科学アカデミー・ロシア文学研究所(サンクト・ペテルブルグ)、アムール地方研究協会、アルセーニエフ博物館(ウラジオストク)、ハバロフスク地方国立文書館(ハバロフスク)、チェコ共和国スラブ図書館(プラハ)、ポーランド科学アカデミー図書館(クラクフ)、ツルゲーネフ図書館(パリ)、ロシア文化博物館、スタンフォード大学フーバー研究所(サンフランシスコ)、ハワイ大学図書館(ホノルル)、ロシア人クラブ図書館(シドニー)などに所蔵されている資料も調査、収集しなければならない。 さらに平成29年度にロシアで開催されるゴンチャローフ国際会議、平成30年度にポーランドで開催予定のB. ピウスツキ国際会議などに出席して、情報と資料収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
「今後の研究の推進方策」欄で記したように、平成29年度にロシアでゴンチャローフ国際会議、平成30年度にはポーランドでブロニスワフ・ピウスツキ国際会議が開催される予定である。これらの会議に出席して自らの研究成果を報告し、新たな情報と資料収集を行うことは本研究遂行上不可欠であるが、両年度の当初の予算額では不足をきたす可能性があるため、平成28年度の当初予算額の一部を次年度使用額とした次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度にロシアで開催予定のゴンチャローフ国際会議、または平成30年度にポーランドで開催予定のブロニスワフ・ピウスツキ国際会議に参加するための外国旅費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)