2016 Fiscal Year Research-status Report
古代エジプト語聖刻文字とアッカド語楔形文字の画像を利用した対訳データベースの構築
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15K02503
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 正勝 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (70578369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 愛仁 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70361293)
高橋 洋成 筑波大学, 人文社会系, 研究員 (90647702)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 記述言語学 / 対訳データベース / 古代エジプト語 / アッカド語 / 画像データベース / XML / MySQL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古代エジプト語の聖刻文字とアッカド語の楔形文字で書かれた「平和条約碑文」(ラメセス2世時代)を対象に、両資料の写真と言語記述の結果とを統合させたWEB公開型の対訳データベースを作成することにある。研究2年目となるH28年度までに、(a)古代エジプト語資料とアッカド語資料の言語記述、(b)古代エジプト語資料とアッカド語資料の写真撮影、(c)古代エジプト語資料とアッカド語資料の内容に関する対応関係の把握が終了した。本資料の文法を対象とした総合的な研究は未だ公表されていないため、本研究で作成した(a)言語記述の成果は世界的にも有益な情報となる。また、多くの研究者がトレースされた資料集に基づいて研究を行なっている現状において、代表者らは(b)両言語の資料を撮影し、高精細画像を得て、それらを資料として読解を行ったという点において、原資料に基づく文献言語研究の実践に位置づけられるものとなった。なお、資料の画像データは最終的にIIIFフォーマットで公開する予定である。(c)両言語資料の対応関係の把握については、従来、条項の対比が中心であったが、本研究では条項内部の要素となる語・句・構文を単位とした分析を行った。その結果、両言語で文法範疇が一致する要素、両言語で文法範疇が一致しない要素、両言語の中間的な状態にある要素があることが判明した。このことから、古代エジプト語とアッカド語の文法の特質を比較する上で、特に句・構文に着目した研究が有益であることが判明した。最終年度となるH29年度には、(a)-(c)のデータを統合させたWEB公開型のデータベース(英語版)の作成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の作業目標は、(1)言語記述結果の校正、(2)古代エジプト語資料とアッカド語資料の対応関係の把握、(3)アッカド語資料の写真撮影、であった。これらの3点において、おおむね作業が完了しており、研究は順調に進展している。ただし、(2)古代エジプト語資料とアッカド語資料の対応関係の把握については、今後も引き続き検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度までに(a)言語データの記述と(b)資料の写真撮影が終了した。そこでH29年度は、(c)聖刻文字のトレース図の作成を行いつつ、(a)言語データの記述、(b)資料の写真、(c)聖刻文字のトレース図の3点を統合させた(d)WEB型データベースを作成すると共に、(e)写真画像のIIIFフォーマットでの公開作業にも着手する。(d)WEB型データベースでは、エクセルで作成した(a)言語データの記述データを正規化したのち、MySQLに格納させる。また、(b)資料の写真と(c)聖刻文字のトレース図を画像ソフトZoomifyに収めたのち、MySQLとZoomifyのデータをDrupalで統合させてWEBでの公開を図る予定である。(e)写真画像のIIIFフォーマットでの公開は、世界規模で推奨されているオープンデータの動向に沿うものであり、世界の研究者や一般の方に学術データを広く無償で提供することを意図したものである。
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Causes of Carryover |
購入品の価格変動により4,253円の繰越額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金は少額であり、予定通り執行している。次年度も計画的に執行して行きたい。
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Research Products
(4 results)