2015 Fiscal Year Research-status Report
言語使用実態に基づく日本語記述文法の計量的評価法と応用方法の開発
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15K02583
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
森 篤嗣 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (30407209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内丸 裕佳子 岡山大学, 言語教育センター, 准教授 (00550964)
中俣 尚己 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00598518)
松田 真希子 金沢大学, 国際機構, 准教授 (10361932)
茂木 俊伸 熊本大学, 文学部, 准教授 (20392540)
山本 和英 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40359708)
建石 始 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (70469568)
岩田 一成 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (70509067)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コーパス / 日本語母語話者 / 日本語学習者 / 動詞 / 日本語教育文法 / 従属節 / 階層構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては,現代日本語の記述的文法研究について,大規模コーパス(BCCWJなど)に基づいて検証をおこなうことを目的としている。当該年度はこの研究目的に沿う形で下記の研究実績を挙げた。 (1)コーパスによる既存の文法記述の検証 いわゆる日本語の複文において,接続助詞に前接する品詞の傾向を調査することにより,南(1974)により提唱された日本語従属節の階層構造モデル(いわゆる南モデル)の検証をおこなった。その結果,南モデルは前節品詞のうち,とりわけ動詞の出現率によって段階制が顕著であることが確認された。具体的には,動詞率100%となるA類に続き,80~90%となるB類,65%に満たないC類となることが明らかとなった。本成果は,研究分担者である中俣尚己氏によるものでり,日本語学会2016年春季大会で発表された。 (2)コーパスによる言語現象の偏りの検証 本年度は「~ておく(とく)」及び「わけにはいかない」の2形式について偏りの検証をおこなった。「~ておく(とく)」については日本語母語話者コーパスと日本語学習者コーパスの比較をおこない,「わけにはいかない」については日本語母語話者コーパスでの検証をおこなった。この二つの研究は,研究分担者である松田真希子氏の指導の下,金沢大学大学院生の鈴木美奈氏(「~ておく(とく)」),小嶋香織氏(「わけにはいかない」)が第一著者として,金沢大学留学生センター紀要19号に発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における目的である「コーパスによる既存の文法記述の検証」及び「コーパスによる言語現象の偏りの検証」ともに,データに基づく精査が不可欠であるため,調査に時間が掛かる。こうした制約がある中,初年度から公刊された結果を出せたことは順調な進展といってよいと考えられる。今年度に準備を進めている研究課題についても,順次,次年度以降に研究成果として公開していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点において研究計画を大きく変更する予定はなく,当初の予定通り「コーパスによる既存の文法記述の検証」及び「コーパスによる言語現象の偏りの検証」を進めていく予定である。ただし,使用するコーパスについては,BCCWJやKYコーパスといった代表的なコーパスばかりでなく,研究グループで独自に入手・構築したコーパスについても積極的に使用できるよう環境の整備に努めたい。
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Causes of Carryover |
人件費について,十分なアルバイトが確保できなかったこともあり,作業を次年度に回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は計画的なアルバイトの雇用をしていく予定である。
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Research Products
(3 results)