2015 Fiscal Year Research-status Report
グループ練習活動を取り入れた漢字授業のデザインと教材開発
Project/Area Number |
15K02636
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
濱田 美和 富山大学, 国際交流センター, 教授 (20283054)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 漢字教育 / 語彙教育 / 日本語学習者 / 中・上級レベル / グループ練習 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は学習者同士でのグループ練習の活動を通して、効果的に漢字学習ができる教材を開発することである。平成21年度より中・上級レベルの漢字クラスにおいて学習者同士でのグループ練習の活動を取り入れ、そのための教材開発を継続的に行っている。本研究では学習者同士のやりとりの様子や学習者1人1人の習得状況を観察することによって、特に漢字・漢字語の読みに注目し、グループ練習の中で習得可能な学習項目と、学習者だけでは習得が困難な学習項目を分別する。あわせて、グループ練習教材にはタブレット端末、ワークシート、カード教材を使用しているが、練習内容に応じて各ツールをどのように組み合わせるのが適切かを検討する。そして、これらの結果をもとに、より効果的なグループ練習を行えるような教材の開発を目指す。 平成27年度は主に今後の分析のためのデータ収集を中心に行った。まず、これまでに作成したグループ練習用教材を用いて、練習時の学習者同士のやりとりを記録し、分析のためのデータを充実させた。次に、学習者の漢字・漢字語の習得状況を測るためのテスト、そして、学習者のグループ練習に対する評価を測るためのアンケート調査を実施した。さらに、教材で扱う漢語と中国語との対応関係を把握するためのリスト作成を行った。分析においては、グループ練習のタイプの違いに注目して、「出題解答型」と「協力解答型」における学習者のやりとりを観察した。その結果、いずれのタイプにおいても、学習者の1人が読みにかかわる出題、解答をした後、他の学習者がそれを反復する形で練習が進行していく様子が多く見られた。そして、「出題解答型」は学習者の習熟度の影響が少ないが、「協力解答型」では漢字学習が不得手なグループでは時間がかかり、発話機会も減少することがわかった。今後の教材開発に有用な情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、グループ練習用教材の改善点を探るための調査として、次の3つを計画していたが、いずれも予定通りに行うことができた。 [調査1] これまでに作成したグループ練習用教材を用いて、練習時の学習者同士のやりとりをICレコーダーとビデオカメラで記録する。 [調査2] グループ練習への評価のための調査を実施する。 [調査3] 学習者の漢字・漢字語の習得状況を測るためのテストを実施する。 また、教材で扱う日本語の漢語語彙と中国語、韓国語との対応関係を把握するための調査の実施も計画していたが、こちらは中国語のみ年度内にリスト化することができた。韓国語は平成28年度中にリスト完成の予定である。 分析については、一部のデータを対象としたものであるが、グループ練習のタイプの違いに焦点を当て観察し、今後の教材開発に有用な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな学習者を対象として、引き続き、グループ練習用教材の改善点を探るための3つの調査(調査1:グループ練習中の学習者のやりとりの様子を記録、調査2:学習者のグループ練習への評価に関するアンケート、調査3:学習者の漢字・漢字語の習得状況を測るためのテスト)を実施するとともに、収集したデータの分析を進める。平成28年度は、タブレット端末、ワークシート、カード教材の各ツールの利用方法についても検討を始める予定である。さらに、教材で扱う漢語と韓国語との対応関係を把握するためのリスト作成も平成28年度中に完成させ、リスト完成後に日本語と中国語、韓国語との対応関係を整理する計画である。各分析を進めながらグループ練習用教材の改訂を行う。
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Causes of Carryover |
謝金について、平成27年度に韓国語との対応リストを作成する予定であったが、研究協力者の確保に時間がかかり、平成27年度中に実施できなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度末に韓国語との対応リスト作成業務を依頼できる研究協力者が見つかり、次年度にリストの作成を行えることになった。次年度使用額の9万円は主に韓国語との対応リスト作成のために使用する計画である。
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