2016 Fiscal Year Research-status Report
日本語表現に即したビジュアル・リテラシーの開発―日本語教育を手始めとして
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15K02648
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
岡本 能里子 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (20275811)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルチリテラシーズ / メディアリテラシー / ビューイング / 日本語教育 / 多言語多文化教材 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、日本言語政策学会において、国語教育、日本での日本語教育、米国での日本語教育から見たメディア・リテラシー、ビジュアル・リテラシーを言語教育に組み込む必要性の発信とそのための言語政策提言を行なった。
日本言語政策学会では「マルチリテラシーズ」を育む言語教育の必要性を、国語教育教材分析、米国と日本の大学での日本語教育実践をふまえて提案した。更に、日本国際理解教育学会では、共同制作して公開している多言語多文化教育教材におけるビジュアル・リテラシー育成の必要性とそれをふまえた教員養成のあり方について検討した。
昨年は大阪大学に滞在する機会を得て、関西の研究仲間とメディアディスコースの批判的分析を通してメディアリテラシー育成が言語教育に必須であることを伝えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、複数の学会で、「マルチリテラシーズ」の言語教育学をふまえ、4技能にビューング(見る)を取り入れた「ビジュアル・リテラシー」育成の必要性について、日本語教育、国語教育、英語教育、社会言語学の研究仲間と共に、発信することができた。ただ、昨年度は、国内研修という立場から、関西での研究が主になり、海外調査に行く機会を得ることができなかった。そのため、前年度末に機会を逃した海外のモジュール教材とその知見の収集が先送りになり、それをふまえた小中学校での国語と英語教育教材分析と年少者日本語教育、英語教育におけるビジュアル教材使用の可能性の調査が十分できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度となるため、遅れている小中学校の国語と英語教育教材やデジタル教材の分析を行い、特に絵やイラスストを読み解く「ビューイング(見る)」技能の育成の必要性を明らかにする。 その上で、日本語のビジュアル・リテラシーのモジュール教材を開発し、小中学校や地域の日本語教育現場で試験的に使用する。そのフィードバックを現場から得て、ビジュアル・リテラシーを、日本語教育に組み込むことの有効性と必要性を明らかにする。 特に多言語多文化化の流れが押し寄せる日本の学校現場において、マルチリテラシーズの知見をふまえた言語教育が日本語母語の児童生徒にも必須であることを、日本語教育の実践研究の成果から伝え、実践研究や論文、刊行本にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
昨年は、国内研修中であり、海外調査に行くことが難しい状況だった。また小中学校での調査も十分できなかったことから、それにあてる予定だった謝金なども未使用になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、当初の計画どおり、オーストラリアのマルチリテラシーズ研究者を訪問する予定である。 更に、7月には、ヨーロッパ(ベルファースト)での国際語用論学会のパネルが採択されており、メディアリテラシー、マルチリテラシーズの先行国であるイギリス等の研究者との情報交換を行なう。 また、関西や福岡の研究者との連携も進めており、刊行本を企画中であり、それにも使用したい。
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Research Products
(6 results)