2016 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生社会に向けての災害時コミュニケーションに関する総合的研究
Project/Area Number |
15K02672
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
津田 智史 宮城教育大学, 教育学部, 講師 (30726443)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 多文化共生 / もっとやさしい日本語 / 災害語彙データベース / 災害支援カード / 日本語コミュニケーション / 災害マニュアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多文化共生社会に向けて適格に情報を発信・享受することのできる環境を整えるために、外国人のためのことばの面での支援ツール作成を目指している。特に、緊急性が高く、一般的でない単語の使用が予想される災害時における支援を目指している。今年度は、次に示すような活動をおこなってきた。以下、本研究のa、bの2つの柱に沿って示す。 a)「もっとやさしい日本語」の提案 外国人の言い換え案調査をもとに、災害語彙をよりわかりやすい表現へと言い換えた「もっとやさしい日本語」を各種団体、学会等に向けて本研究の周知活動をおこなっている。具体的には、既に作成済みの「災害支援カード」を国際交流関係の各所に配布し、活動を周知するとともに、国際交流関係の現場の状況について情報を収集している。また、国際学会でも本研究に関する活動についての発表をおこない、関連活動をおこなう研究者との関係を築いている。 b)「災害語彙データベース」の構築 本年度は、まず千葉県の各市町村における防災関連HPの語彙調査をおこない、地域と語彙、外国人受入状況と語彙などの観点から災害語彙に関する考察を深めた。また、さまざまな災害に関する防災パンフレットにおける語彙量調査、平成28年熊本地震後1ヶ月の熊本日日新聞における語彙調査などをデータ化しつつ、データベースに記載する語について選定作業を進めている。さらに、韓国、台湾籍の研究協力者より、各国の防災対策の状況や、どういった点に関心を持っているかの情報提供を受け、それらを踏まえた対策についても現在検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度での災害語彙データべースの公開のために、現在もさまざまな媒体から災害関連資料を収集し、それらのデータ化をおこないつつ分析を進めている。併記予定の多言語訳についてはこれから進めることになるが、複数の観点からの語彙選定をおこなっており、データの重層性としては当初の予定よりも厚みを増している。「もっとやさしい日本語」については、国際交流団体や学会、研究者へと機会あるごとに発信しており、今後の活動拡大の足場を作っている。全体としては、おおむね順調に進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの作業を継続しつつ、災害語彙データベースの構築を目指す。 データは、ある程度の範囲で収集できたので、早急に語彙選定をおこない、データベースに記載する「もっとやさしい日本語」、多言語訳等のための調査をおこなう。年度後半においては、これまでの活動のまとめと、韓国、台湾など他国との災害/防災の関わりに関する現状と考察をまとめ、報告書として上梓する。 また、昨年開設したホームページの充実を図り、これまでおこなった研究会の資料なども、一般に公開する予定である。データベースについても、ホームページ上での公開を目指す。
|
Remarks |
これまでの研究成果や、研究会の情報、資料を掲載するページです。
|
Research Products
(3 results)