2016 Fiscal Year Research-status Report
日本の中学生の英語による読解の躓きを分析し読解力を回復させる指導方法の開発研究
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15K02697
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
小野 尚美 成蹊大学, 文学部, 教授 (10259111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 読みの躓き / 中学生の読解力 / lReading Recovery / literacy |
Outline of Annual Research Achievements |
日本で英語を学ぶ中学生の読みの躓きを取り除くための指導法開発をしている。その中で、小学校で英語を学んできた学生が中学生になって文字を習う段階で躓く傾向があり、その躓きをなくすための指導として、英語リーディング教材の開発を行った。英語圏で読み書きに躓く小学生の能力回復のための介入プログラムであるReading Recovery Programの理念と指導法を応用して、日本の英語学習者のための教材と指導法開発をしているのだが、日本の学習者に適したものにする必要がある。昨年度の業績としては、研究社から出版した『教室英語のハンドブック』の出版(平成28年1月出版)に引き続き、平成29年3月にはそれまでの研究をまとめた『小学校英語から中学校英語への架け橋』を朝日出版社から出版した。この著書の11章及び12章では、具体的にReading Recovery Programの理念と指導方法を日本の英語学習者に応用するモデル教材を提示している。重要な点は、日本の小学生及び中学生は、英語を外国語として学んでいるが、既に知っていることや慣れ親しんだ日本の物語の英語版を教材として提示することにより、いわゆるroaming around the known(既知の事柄をもとに未知の事柄を学ぶ)という指導の基本的な考え方を応用することが可能となった。モデル教材の特徴は、音、文字、意味の関連性を重視する指導を行うこと、学習者の知っていると思われる事柄を使って学びを進めること、学習者が興味を持って読める内容のテキストを提示すること、である。3部構成(「読み書き」能力を回復する指導、小学校英語教育と文字教育、小学校英語教育の実践)になっているこの本は、今後の本研究の軸となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度に予定していた本『小学校英語から中学校英語への架け橋ー文字教育を取り入れた指導法モデルと教材モデルの開発研究』は、幾分時間がかかったが、平成29年3月に出版することができた。また、前年度の平成28年に、英語を教えている際に教室で使える英語表現を集め、この著書の第12章で提示している具体的なモデル教材の原型となったものが含まれた『教室英語のハンドブック』を出版することができたことから、「当初の計画以上に進展している」と考えている。『教室英語のハンドブック』の中の小学校と中学校の英語教育を連携したタスクは、小学校で英語を教えている現場の先生方から好評で、小学校英語を教える教員のための研修でも使われている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究は、大きく分けて2つのプロジェクトを予定している。1つは、日本で英語を学ぶ中学生の躓きの原因を探るために、中学生が英語を学ぶ現場に行き、英語学習にについての観察および(可能であれば)学生と教師にインタビューをする。2つ目は、日本で英語を学ぶ中学生及び小学生が読み書きの訓練をすることのできる英語教材を作成することである。1つ目のことについては、武蔵野市立第2中学校にて1学期と2学期に授業参観をすることになっている。また同中学校の中学3年生に実際に英語の個人指導を行い、これまで研究してきたReading Recovery Programの理念と指導法を応用した教え方を実践し、指導法の確立を目指す。具体的には、平成29年11月頃から4か月弱の期間に実施できるもようである。2つ目については、研究協力者とともに書いた日本の中学生及び小学生のための英語のテキストを使って指導する方法を提示するために教材集を本年度に出版する予定である。Storytelling, retelling & rewriting,音と文字を連携させた指導、ポーフォリオを活用した英語指導、Active learningと英語の読みの指導など、様々な指導法を提示していく予定である。この教材は、文部科学省が本年度以降小学校で文字教育を始めるという方針であることから、一つのアイディアとして提示するつもりである。
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Causes of Carryover |
平成28年度に、本(『小学校英語から中学校英語への架け橋 文字教育を取り入れた指導法モデルと教材モデルの開発研究』)を朝日出版社から出版したのだが、その時の金額が幾分安くなったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年には、教材を購入する予定であるので、そのためにこの残金を使用する予定である。
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