2019 Fiscal Year Research-status Report
日本とアジア圏の英語学習者のパフォーマンス能力:モノローグでの多言語比較研究
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15K02786
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
蓬莱 朋子 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (40548012)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 応用言語学 / 英語教育 / 教育評価・測定 / 言語テスト / 外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、世界的規模で実施される英語運用評価試験(IELTS, TOEFL iBT等)に含まれるスピーキングテストで採用されているタスクの一つ、「モノローグ」に焦点をあてる。 受験者の出身国において、学校教育での口述試験(母国語でのモノローグ)の有無が、英語スピーキングテストでのパフォーマンスに与える影響を検証するとともに、IELTSやTOEFL iBT等のような試験結果の重要性が高いテスト(high-stakes tests)において「モノローグ」タスクを使用することの妥当性の検討を目的としている。 計画している具体的な研究項目は、以下の3点である。日本とアジア圏の大学生を被験者として、英語と母国語での「モノローグ」の発話言語を(1)文レベル・総語数での比較分析をする。(2)コーパス検索プログラムを用いて使用言語の比較を行う。(3)スピーキング・テスト時の言語間、被検者間の認知プロセスを比較する。 上述の目的と項目の分析のため、令和元年度も大学生(英語学習者)を対象として発話データや、質問紙・インタビューを用いたデータ収集を継続した。また、現代アジアの教育制度の背景を理解すべく、教育計画、初中等教育の制度改革、教育改革カリキュラム、教育実践等の観点から文献調査と収集に着手した。 加えて今後は、日本とアジアでの学校教育における口述試験の実施について、大学生を対象とした追加調査を実施し、各国の現状を探究することも計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に続き、パフォーマンス・テスト受験者の確保に難航している。本研究計画は、被験者の同意・協力なしには実現せず、個人情報取扱いの配慮を必要とする内容を含むことから、その手続きについて信州大学内の「ヒトを対象とした研究に関する倫理委員会」での審議において「参加対象者は20歳以上が望ましい。」との助言があった。このことから、高学年次の学生を中心に募集しているが、これまでのところアジアの学生は、英語での「スピーキングテスト」への参加には消極的な傾向にある。このような状況から、次年度も発話データ収集を継続することになり、当初の計画よりも全体的に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度も引き続き、信州大学内の「ヒトを対象とした研究に関する倫理委員会」で承認を得た手順に従って、データ(被験者の英語と母国語での発話)の収集と文字起こし等を継続し、分析の体制を整える予定である。 しかしながら、新型ウィルス感染拡大の影響で、今後、対面にてデータを収集することが困難になることも懸念される。また、公共交通機関を利用して県内・県外への移動が制限される場合、遠隔操作等でパフォーマンスを録画・録音するようになることも想定される。本来、全被験者は同じ環境下でテストを受けることが前提とされるが、非常時に備えてデータ収集の環境を整える準備が必要である。 また、アジアの国々の教育制度やカリキュラム等についての見識を深めるため、文献調査を継続するとともに、この約10年間の実態を認識するため、大学生を対象に出身国の学校教育での試験形式について質問紙調査を実施し、各国の状況を量的アプローチで総括する。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究の遂行に遅延が生じ、当初計画していたデータを扱う作業のための費用が令和元年度は未使用となり、差額が発生した。
(使用計画)継続する発話言語の収集と質問紙調査の実施、そのデータ入力と分析に「物品費」「人件費・謝金」を使用する。また、本研究に関する研究会への参加や、研究結果の発表の際には「旅費」を使用する。
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