2015 Fiscal Year Research-status Report
平戸藩楽歳堂文庫をめぐる書物環境と文庫形成過程に関する基盤的研究
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15K02866
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 義則 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60294849)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平戸藩楽歳堂文庫 / 松浦静山 / 蔵書目録 / 毛利高標 / 楠本端山 / 壱岐国続風土記 / 甲冑故実述意 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究計画において定めた平戸藩主松浦静山藩主期における平戸藩楽歳堂文庫の形成過程を解明することを目的として、文庫創設者たる静山自身が作成した蔵書目録の研究を行い、次に、静山と交流があった大名・文人らの蔵書目録の調査と研究を行った。前者については、「平戸藩楽歳堂文庫蔵書目録」について、特に、地理部の内容とその形成過程を、新出の「家乗目」(楽歳堂の蔵書目録の一つ)と「感恩斎考書余録」といった2つの蔵書目録との対比から研究した。 後者については、豊後佐伯藩の毛利高標との交流について、楽歳堂に所蔵される「佐伯侯蔵書目録」(2冊)についてのデータベース化を完了した。さらには、平戸藩儒を勤めた針尾楠本端山旧蔵の蔵書目録についても調査を実施し、その目録のデータベース化を完了した。 一方、こうした蔵書目録のデータベースを検索公開するための検索システムについての仕様を研究し、楽歳堂蔵書目録データの検索システムを、次のサイトにおいて公開した。 http://yosi-iwa.sakura.ne.jp/programs/essay/contents/public/?t=1366149047 上述のような蔵書目録研究を行う一方で、特徴ある書物に関する個別研究も進めており、『壱岐国続風土記』及び『甲冑故実』類の調査と研究に着手。『壱岐国続風土記』については、全117冊と冊数・分量が多いため、70冊程度の調査を完了。『甲冑故実』類については、ほぼその全体を調査し、中核となる『甲冑故実述意』(1冊)について、翻刻を行い、関連論考を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年夏より家族の病気のケアもあり、福岡県外への長期出張等ができず、平成27年の夏期休業中及びそれ以降に予定していた松浦史料博物間・山口県文書館・秋田県立公文書館・国会図書館への出張・調査が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度中に実施できなかった松浦史料博物館等への集中した文献調査を可及的速やかに実施する。さらに平成27年度中の科研費においては、上述の理由で出張旅費として執行できない経費を用いて、次年度以降の調査に必要となる撮影機材類や専門書籍類を調達した。平成28年度は、効率的的な調査を行うことに努めたい。 投稿論文については、平成27年度中に脱稿を予定していた平戸藩楽歳堂文庫所蔵の書物に関する論考、さらには、平戸藩楽歳堂文庫の蔵書目録に関する投稿論文を今年中に投稿し、研究計画通りの成果を公表したい。 その他は、平成28年度中の研究計画で定めた通り、松浦静山が隠居した後の蔵書収集と文庫形成について、『新増書目』を中心とした研究を行う。 また、蔵書目録データベースでのデータ公開について、関係機関との調整を行い、早急にネット上公開できるよう措置を取りたい。
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