2017 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on the spread of vaccination in the Kyushu area and the modernization of regional health care
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15K02867
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 研究員 (60444866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 明秀 熊本県立大学, 文学部, 准教授 (50508786)
ミヒェル ヴォルフガング 公益財団法人 研医会, その他部局等, 研究員(移行) (90619769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然痘 / 種痘 / 楢林宗建 / モーニッケ / 佐賀藩 / 前田杏斎 / 武谷祐之 / 再帰牛痘法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究成果として、第一に研究報告書及び九州の種痘史料集である『史料・九州の種痘』(A4版、103頁)を刊行した。内容は、佐賀藩支藩多久領種痘史料、(野中烏犀圓家所蔵)モスト牛痘種法、村井琴山「痘瘡問答」(校訂版)、武谷祐之『牛痘告論』、中津藩辛島医家旧蔵の「種痘新説」、黒江家種痘資料、、若山健海種痘記録、小倉領種痘史料である。第二に、論考集『天然痘との闘いー九州の種痘』(岩田書院、2018年5月発行予定)を準備した。内容は、青木歳幸「序章ー九州の種痘」、同「人痘法の展開」、同「牛痘伝来史」、同「牛痘伝来再考」、同「佐賀藩の種痘」、同・保利亜夏里」「多久領における種痘と医療」、W・ミヒェル「ヨーロッパ人が観た日本における天然痘」、同「武谷祐之と福岡藩における牛痘の導入」、同「中津藩における天然痘との闘い」、同「人痘と牛痘の比較と評価」、相川忠臣「天然痘」、同「長崎と牛痘」、山内勇輝「大村藩の種痘」、金子信二「佐賀の疱瘡神」、青木歳幸「佐賀藩の種痘」、小川亜弥子「長州藩の医学館と種痘」、吉田洋一「久留米藩の医学」、大島明秀「熊本藩の治痘」、海原亮「若山健海と宮崎の種痘」、今城正広「薩摩藩領黒江家文書にみる種痘」、田村省三「薩摩の種痘」の論考を掲載し、九州の種痘の概要を紹介できた。 3年間の科研において、成功した牛痘接種日は嘉永2年(1849)6月26日であったことを特定できた。佐賀藩では全額藩費による組織的な種痘活動を行い、大村藩や天草では種痘山という隔離政策をとった。日向(宮崎)での種痘は、若山牧水の祖父若山健海が嘉永3年ころから始めた。小倉領では安政5年(1858)に再帰牛痘法を実施したことなどのほか、熊本藩洋学校設立にあたり、長崎から種痘医が校長として招かれ、種痘普及を契機として地域医療の近代化が始まったことなど、新しい事実と見解を紹介できた。
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Remarks |
私たちは科研費基盤研究c「九州地域の種痘伝播と地域医療の近代化に関する基礎的研究」の共同研究チームです。我が国の種痘(牛痘)は、九州から全国に広がりましたが、伝播の過程は、各村単位でどのように広まり、その普及が地域医療の近代化にどのように影響したのかなどはわかっていません。そこで、九州各地の種痘に関する資料を集積し、九州地域の種痘の伝播とその影響の解明をするために、このHPを作成しました。
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Research Products
(26 results)