2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02908
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
眞城 百華 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (30459309)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アフリカ史 / エリトリア / エチオピア / 脱植民地化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、エリトリアにおいて渉猟した行政史料の分析を引き続き行った。英軍政下のエリトリア行政文書をさらに渉猟する必要があり、8月にはロンドンの英国国立公文書館で史料渉猟を実施した。また本研究が対象とする40年代、50年代からエリトリア内政に介入を行ったエチオピアの史料を渉猟するために8月後半にはエチオピアを訪問した。 年度後半には、エリトリア、イギリス、エチオピアで渉猟した史料の分析、突合せを行いエリトリア政治史ならびに社会史の分析を進めた。初年度に分析を行ったムスリム連合ならびに自由進歩党の支持層の分析に加え、ムスリム連合から分派した西部州ムスリム連合の成立、同党の支持層となったエリトリア西部地域の社会史の分析を深めた。西部州ムスリム連合の成立はエリトリア内の諸政党の対立の文脈に加え、エリトリア西部が隣接しているスーダンを植民地とし、また51年までエリトリアで軍政を敷いたイギリスの政治的介入が注目されてきた。しかし、成立から短期間で1952年のエリトリア初の選挙で第二党となるほど政治的影響力を発揮した西部州ムスリム連合と支持を行った西部州の諸民族との関係についてはこれまで言及が限定的であった。この点についてイギリス外交文書ならびにエリトリア公文書史料を用いて分析を行った。 他方、エリトリアの脱植民地化を相対化して検討するために、同じくイタリア領植民地であったイタリア領ソマリランドの脱植民地化についても分析を行い、エリトリア並びにイタリア領ソマリランドの脱植民地化の比較に関する論考についても執筆を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エリトリアの脱植民地化に関する政治史は先行研究も複数あり、史料分析の手掛かりとなるため、渉猟した史料の分析により新たな視点も加味した研究を進めることができた。他方で、社会史については先行研究も十分なく、複数の国に分散している限られた資料を渉猟し、分析を深めることに当初よりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、エリトリア、イギリス、エチオピアと3か国で史料渉猟を行い、その分析を行ってきた。当該研究の対象時期は帝国主義から冷戦に架橋する時期であり、さらに研究を深めるために最終年度となる今年度はアメリカとエチオピアで史料渉猟を実施する予定である。2年間の研究成果をさらに深めるためにアメリカ外交文書館、ならびにスタンフォード大学フーバー研究所に所蔵されているエリトリアならびにエチオピアに関する史料にあたる予定である。 最終年度の後半は、史料分析をもとに成果物となる論文執筆にあたる。
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Causes of Carryover |
エリトリアにおける史料渉猟が初年度に順調に経過したため、2年目にあたる本年度のエリトリア渡航費用分が未使用となった。またイギリス、エチオピア、エリトリア3か国の史料分析に集中して取り組んだため、本年度のアメリカ渡航は次年度に実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度にあたる2017年度に、2016年度から繰り越した研究費を利用して、文献渉猟並びにアメリカにおける史料渉猟の渡航費・滞在費に充てる。
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