2015 Fiscal Year Research-status Report
近代フランスにおける社会構想の複数性と「革命」―〈個人〉を起点として
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15K02950
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高橋 暁生 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90453612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 知己 一橋大学, 学内共同利用施設等, 助手 (30377064)
田中 佳 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (70586312)
寺本 敬子 跡見学園女子大学, 文学部, 助教 (80636879)
松本 礼子 一橋大学, 社会(科)学研究科, 一橋大学大学院社会学研究科特任講師 (60732328)
平 正人 文教大学, 教育学部, 准教授 (90594002)
増田 都希 成蹊大学, その他部局等, 日本学術振興会特別研究員RPD (50760633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フランス革命 / 個人史 / 啓蒙思想 / 社会構想 / アンシァン=レジーム / 19世紀フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1789年のフランス革命を軸として革命前夜、革命期、革命後19世紀後半にいたる時期に存在した複数の社会構想を明らかにするために、共同研究のかたちで各研究者が各時代を生きた個人に焦点を合わせた研究を進めている。 革命前夜については、研究分担者・増田が18世紀後半の作法書の著者81名の社会的出自や職業等についてのこれまでの調査結果を整理し、そのうちの8名について精査を行った。また研究分担者・田中は研究対象とするダンジヴィレ伯爵の個人美術コレクションと蔵書目録という貴重な一次史料を入手し、解読、分析作業を進めた。美術コレクションについては、一次史料やデータベースを駆使しながら同定作業を行っている。さらに研究分担者・松本は、1760年代の王権の食糧政策を批判し収監されたパリの一弁護士について、尋問調書や警察関係者の書簡、本人の手記や政府に対する意見書など文書の分析に着手した。 革命期については研究代表者・高橋が革命前夜から革命期を経て第一帝政期にいたる時期に、研究対象としているノルマンディの大商人とその周辺が書き残した議会報告書草稿やメモワールの解読と分析を行った。研究分担者・平は国内学術機関における史料調査を完了させ、一部研究成果を公表するとともに、フランス・パリのフランス国立図書館、パリ市歴史博物館、パリ市庁舎図書館で新たな史料調査を実施し、貴重な手稿史料(遺産目録、蔵書目録)をはじめとする重要な発見があった。 革命後19世紀については、研究分担者・福島がこれまでの研究成果を基盤として多様な切り口からシャルル・フーリエの思想分析を行っている。その一つとして、生存権思想史の検討を開始し、生存権の日本における先駆的理論家である福田徳三について分析した。さらに研究分担者・寺本は、パリ万博の組織委員会の報告書等の解読を進め、とりわけフランス革命にかかわる言説について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究を行うチームとして、研究は当初の計画と大きな齟齬なく進んでいる。研究代表者が当初渡仏し調査する予定だった史料(県議会議事録、ルアン大商人・ドゥフォントゥネ兄弟の議会報告書草稿、メモワールなど)がデジタル化され、当地の文書館のサイトで公開されたため、年度内の渡仏の必要がなくなったことを除けば、計画段階からの大きな変更はない。 研究会を秋に開催し、研究の方向性を調整、共有している。またメール上での情報交換を頻繁に行っているが、分担者の中には、現地フランスでの史料調査によりきわめて重要な史料的発見をした者もおり、研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初の計画通り研究を進めることが第一義的に重要である。個々の研究を進めつつ、平成28年度は1~2回の研究報告会を開催し、そこでは複数の研究者による研究報告を行い、共同研究としてまとめていくことを目標に、方針の微調整や共有をはかる。18世紀から19世紀という長い期間を対象に、この時代を生きた個人の思想傾向、社会構想を明らかにしつつ、これらを「フランス革命」との関係性という一点で結びつけようという本研究の試みにおいては、ともすれば研究成果の内容がまとまりを失いがちであり、この意味で共同研究者間の緊密な意思疎通が不可欠である。このために、研究代表者にはこれまで以上に全体を統括する役割が求められるだろう。 共同研究を行う研究者個々が精力的に史料調査と分析を進めているが、そのプロセスで、当初想定されていなかった史料調査の必要性が生まれる可能性は否定できない。研究計画に何らかの変更が生じるとすれば、この点だけだろう。 なお、上記研究報告会はもちろんだが、メール上での情報・意見交換においても、研究協力者である山﨑耕一、森村敏己の両氏に専門的見地からのアドバイスをお願いしている。両氏にも研究報告を依頼することになっており、さらなる研究全体の進展、何より内容の充実が期待できるだろう。
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Causes of Carryover |
理由は主に二つある。第一に、フランスの図書館・文書館での史料調査予定者二名のうち一名(研究代表者)が調査を取りやめたことである。計画の段階で調査予定であった県議会議事録と、この県議会に提出された当時の議長で当該課題の研究対象の一人であるピエール=ニコラ・ドゥフォントゥネとその弟アレクサンドルに関わる数点のメモワール、議会報告書草稿が、新たにデジタル化された史料としてサイトに公開され、この史料については現地で調査する必要がなくなった。 第二の理由は、研究代表者が、予定されていたほど物品費を使用しなかったことを指摘できるだろう。この研究課題に備えて準備してきた史資料の整理・分析に予定していた以上に時間がかかり、計画していた文献や刊行史料などの購入に至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
デジタルデータとして手に入れることのできた史料の解析次第ではあるが、現時点では平成28年度の渡仏、フランスでの史料調査は当初の計画通り1名(増田)のみである。他方、平成27年度の史料分析の結果、とりわけ革命期を担当する二名にとって、フランス革命当時の新聞のトータルな調査を加えることで、研究をより深化させられることが判明した。そこで、冊子のかたちでまとめられているJournal de Normandie, Journal de Rouen, Courrier maritime, L'Abeilleなどの新聞(1767年~1804年の間に刊行されたもの)を物品として購入することを計画している。平成27年度の未使用分は主にこれらの購入に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 『危機に対峙する思考』2016
Author(s)
平子友長, 橋本直人, 佐山圭司, 鈴木宗徳, 景井充, 筒井淳也, 磯直樹, 前田泰樹, 大河内泰樹, 村田憲郎, 南孝典, 菊谷和宏, 杉本隆司, 田中秀生, 上杉敬子, 小谷英生, 中村美智太郎, 高安啓介, 白井亜希子, 福島知己
Total Pages
598(334-351)
Publisher
梓出版社
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