2016 Fiscal Year Research-status Report
近代フランスにおける社会構想の複数性と「革命」―〈個人〉を起点として
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15K02950
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高橋 暁生 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90453612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 知己 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (30377064)
田中 佳 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部, 准教授 (70586312)
寺本 敬子 跡見学園女子大学, 文学部, 専任講師 (80636879)
松本 礼子 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特任講師 (60732328)
平 正人 文教大学, 教育学部, 准教授 (90594002)
増田 都希 成蹊大学, 文学部, 特別研究員 (50760633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 啓蒙思想 / 社会構想 / フランス革命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に取り組んで2年目となる2016年度は、研究分担者、研究協力者とともに、最終年度に向けて実質的な研究の進展が大きく見られた期間となった。複数の研究者が学術論文を公表、学会や研究会で研究成果を発表している。たとえば専修大学ベルンシュタイン文庫所蔵の貴重史料を使用した平正人の研究報告は、本研究課題の中で同氏が扱うカミーユ・デムーランを取り上げている。それ以外の研究者も、1年目に収集した史資料の分析を進め、3月には徳島大学を会場として研究集会を開催した。互いの研究を原稿のかたちでそれぞれ発表し討論、最終年度における成果のとりまとめに向けて、細部を詰める作業を行った。 研究代表者である髙橋暁生は、ルアン市の大商人ドフォントネ、福島知巳は思想家フーリエ、平は革命期ジャーナリストのデムーラン、増田都希は文筆家カラシオリ侯爵、田中佳は官僚ダンジヴィレ伯爵、寺本敬子はパリ万博の報告書編纂者ピカール、松本礼子は法曹家プレヴォ・ド・ボーモンについて、彼らがそれぞれの時期に構想していた社会像、国家観を明らかにし、それらとフランス革命との「距離」をはかるという試みは、ここにいたって大筋で完成への道筋が見えてきたと言ってよい。これらに加えて、研究協力者の山﨑耕一には革命家のシィエス、森村敏己には思想家のコワイエを同様に検討した研究を報告していただいた。これらすべてを総合し、フランス革命前から革命期、そして19世紀にいたる時期を生きた〈個人〉の持つ思想が、フランス革命が生み出した社会や国家のかたちとどのように関わるのかについて明らかにするには、依然として研究者相互の強い連携と、研究成果のすりあわせが必要で、簡単な作業ではないが、この課題は最終年度に果たされるはずである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な問題はなく、計画通り進んでいる。3年の研究期間終了後に研究成果を書籍で公表する予定だが、この目的に向け、2年目は各自、一次史料の渉猟をほぼ終了し、すべての共同研究者が下原稿を完成させた。この下原稿の報告と議論を、2017年3月の終わりに徳島大学における研究集会で行った。研究協力者2名を加え総勢9名の報告、ディスカッションは長時間に及んだが、非常に有益な機会となり、研究課題に応えられる内容とするための大きな問題点、テクニカルタームの使用を含む細かな問題点まで議論、修正が必要なポイントを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、2017年3月に徳島大学で行われた研究集会で明らかになった問題点を、それぞれが持ち帰り、最終的な論考を今年8月末をめどに完成させ、9月に予定されている研究集会(@東京)での議論を通じて最終的な相互チェックを行い、単なる論文の寄せ集めではなく、各パートが相互に、有機的につながり、研究課題に十全に応えられる内容にできるよう、しっかりとすりあわせをする予定になっている。研究計画の完了は最終段階にある。
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Causes of Carryover |
予定していた史資料の購入に際して、各共同研究者が使用した額が、予定をそれぞれ下回ったため。研究計画の大幅な変更で次年度使用額が生じたわけではない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、各自の研究成果の精度を上げることが求められている。最低1回予定されている東京での研究集会参加費や、追加の史資料の購入、マイクロフィルムデータのデジタルデータへの変換などに使用される予定である。
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Research Products
(6 results)