2017 Fiscal Year Annual Research Report
The development of Japanese Fisheries in Hawaii and US-Japan Relations
Project/Area Number |
15K02963
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小川 真和子 立命館大学, 文学部, 教授 (60443610)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日系ハワイ移民史 / 漁業史 / ジェンダー / 日米関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、科研費を用いて、ハワイにおける近代的な日系漁業の歴史的展開について、おもに一九世紀後半から第二次世界大戦期、戦後の漁業復興期を経て現在に至る時期にかけて検証してきた、その結果、ハワイ諸島各地で形成された日本人漁村の場所及び規模、漁船の操業拠点や漁撈に実態について明らかにすることができた。さらに、大戦中における漁船の没収や漁撈制限など一連の政策や、日系人以外の民族による漁撈の実態についても解明することができた。 これらの研究は、助成期間中に刊行した学術論文や学会での報告を経て、二冊の単著『Sea of Opportunity: The Japanese Pioneers of the Fishing Industry in Hawaii』(ハワイ大学出版、2015年)並びに『海の民のハワイ ハワイの水産業を開拓した日本人の社会史』(人文書院、2017年)にまとめられた。 上記の著書は、日本の海の民(海を生活の拠り所とする人々)がハワイの海に進出し、現地における水産業を起ちあげ、発展させた様子について、社会史的な観点から描いている。従来のプランテーション体験を基軸とする日系ハワイ移民研究と異なり、本研究が明らかにした日本の海の民の体験は、二〇世紀初頭以降、業界において一貫して強いリーダーシップを発揮しつつ、現地の白人政財界を味方に取り込んだ上で、時には「海からの排日」を強要する大統領側からの圧力に対抗した点や、漁獲物流通・加工の分野及び漁村の社会生活において女性が大きな役割を果たした点などの特徴を持つ。また戦時中における漁船の没収や関係者の強制収容による水産業の逼塞や、戦後の復興過程における沖縄との結びつきの強化に触れつつ、ハワイに持ち込まれた日本の海の文化が今日も大きな影響力を保持している点も明らかにした。 このように、本研究は大きな成果を上げることが出来た。
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