2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02970
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 浩之 北海道大学, 文学研究科, 教授 (60322773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 康 北海道大学, 文学研究科, 教授 (10211898)
山際 明利 苫小牧工業高等専門学校, 文系総合学科, 教授 (20249717)
石井 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60241402)
水上 雅晴 中央大学, 文学部, 教授 (60261260)
佐野 比呂己 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60455699)
橋本 裕行 奈良県立橿原考古学研究所, 企画部企画課, 課長 (80270776)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 亀卜 / 骨卜 / 卜骨 / 卜筮 / 周易 / 占卜 / 術数 |
Outline of Annual Research Achievements |
学会発表として、研究代表者(近藤浩之)は、東方学会創立60周年国際東方学者会議のシンポジウム「中国古代における術数と思想」(東方学会国際東方学者会議、2015年5月、於日本教育会館)で、「周縁文化より考える占卜の技術と文化」という研究発表を行い、日本の江戸時代以前に行われていた亀卜の技術を再現する試みと調査について説明した。この成果は、平成28年度中に刊行予定の論文集『中国伝統社会における術数と思想』(水口拓寿・池田知久編)の一部として公表する。また分担者(石井行雄)は近藤と共同で、「廣橋家旧蔵文書を中心とする年号勘文資料の整理と研究」第二回研究会(2016年3月、於国立歴史民俗博物館)で、「田中本『周易』(重文)のもう一つの顔―田中本『周易』白点調査中間報告―」という研究発表を行った。 現地調査として、研究代表者と分担者(計4名)が、出土卜骨点数が最も多い(約250点)鳥取県青谷町の上寺地遺跡で調査を行った。青谷上寺地遺跡の現場を視察、青谷上寺地遺跡展示館を見学、鳥取市埋蔵文化財センター青谷調査室において、卜骨等の骨角器48点を熟覧した。弥生中期以降のこの遺跡の植物群生に艾(よもぎ)があることを確認し、卜骨の焼灼痕を観察した上で、実際に艾草(もぐさ)を使った猪の肩甲骨の焼灼実験を試行的に行い、3箇所をセットで焼灼した痕を、艾草で再現できる可能性を探った。卜骨の焼灼に艾を使ったのではないかという発想は画期的な視点であり、今後この方向で調査・分析・検証を進める必要があることについて打合せを行った。また分担者(橋本裕行)は、さらに神奈川県池子遺跡群出土卜骨25点(弥生中期から古墳初頭)の調査を実施し、青谷と池子の卜占前の卜骨処理の方法はほとんど同じことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度に長崎県壱岐・対馬の遺跡と出土卜骨を調査する予定であったが、出土卜骨点数が最多の鳥取県青谷町上寺地遺跡での現地調査を最優先して、(次年度予定であったものを繰り上げて)初年度に行ったのだが、その調査から得られた知見は、予想以上に有益・有用であったので、他の遺跡や出土卜骨を熟覧・分析する際に比較の基準となる、最適な標準が得られたと考えられる。なお、次年度は長崎県壱岐・対馬の遺跡と出土卜骨を調査する。三年間の計画のうち、調査の順番を入れ替えただけなので、進捗状況としては、おおむね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
長崎県対馬の厳原町資料館には、江戸末とそれ以後の卜甲が保存されているし、長崎県壱岐の勝本町串山ミルメ浦遺跡(古墳時代)からは、伴信友『正卜考』に解説される対馬の卜甲の図と形状や焼灼法が酷似した卜骨が出土している。さらに壱岐の唐神遺跡(勝本町)、原の辻遺跡(芦辺町)からは弥生時代後期の卜骨(鹿・猪)が出土している。それらを現地に行って熟覧し調査する。また亀卜・骨卜・易筮に関する風習・伝承・記録などの有無も調査する。なお、その骨卜の焼灼に艾草が使われた痕跡や可能性がないかどうか、注意深く検討する。『対馬国卜部亀卜之次第』の図説や漢籍『淮南子』兵略訓の「鑽霊亀」の記述など、文献的な調査も必要である。
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Causes of Carryover |
当該年度購入予定であった『楚卜筮簡文字編』(全6冊、蔡麗利編著、学苑出版社)の納品が、次年度になったため。 また、旅費について、長崎県対馬・壱岐地方に調査に行く当初の計画を変更し、当該年度はより近い鳥取県青谷町に調査に行ったため。これは、計画では次年度に予定していた鳥取県青谷町上寺地遺跡の方が、より優先度が高いと考えて初年度(当該年度)に調査することにしたからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分として請求した助成金と合わせて、当該年度に購入・納品できなかった『楚卜筮簡文字編』(全6冊、蔡麗利編著、学苑出版社)を含む卜筮関係図書を購入する。 また、次年度分として請求した助成金と合わせて、(当該年度の鳥取県よりは遠い)長崎県対馬・壱岐地方に調査に行く。
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Research Products
(8 results)