2017 Fiscal Year Annual Research Report
Archeological study on forced emigration of Fushu or Ifu in the Japanese ancient times
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15K02987
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
平野 修 帝京大学, 文化財研究所, 講師 (90620865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河西 学 帝京大学, 文化財研究所, 講師 (60572948)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 俘囚 / 夷俘 / 蝦夷 / 渡来人 / 征夷 / 手工業生産 / 長煙道カマド / 黒色土器 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでの研究成果の報告会として平成29(2017)年11月25日・26日の両日にわたり「『俘囚・夷俘』とよばれたエミシの移配と東国社会」と題したシンポジウムを開催した。本研究は、日本古代において律令国家が東北地方への領地拡大のために行った征夷事業によって、投降したり捕虜となった「蝦夷(エミシ)」いわゆる移配政策によって、「俘囚」や「夷俘」として内国(奥羽以西の本州・四国・九州)へ強制移住させられた彼らが、移配された国のどの地域にいて、そこでどのようなことをして生活していたのかを、考古学的に検討し、そこから律令国家が行った「移配政策」とはいかなるものであったのかを検討するものである。 シンポジウムでは令制国の武蔵、甲斐、相模、上総、下総、常陸、上野、下野、陸奥南部の各地域における「俘囚・夷俘」の考古学的痕跡の状況を、研究協力者である田尾誠敏・田中広明・渡邊理伊知・郷堀英司・栗田則久・佐々木義則・早川麗司・津野仁・菅原祥夫の各氏にお願いして報告していただき、その結果、各国の馬匹生産や窯業生産、紡織生産などといった手工業生産を担う郡や郷、そして国分僧尼寺などの官寺や官社の周辺といったある特定のエリアに送り込まれている状況が判明した。これらエリアは倭王権段階には「屯倉」が設置された地域や渡来人が安置(入植)された地域で、後の令制段階では勅旨田や御牧が置かれた皇室の直轄領に多いことが判明した。このことは少なくとも征夷事業の後半段階から終結段階における移配の目的は、坂東をはじめとする東日本諸国における地域経済の建て直しのための労働力の確保といった側面があったと考えられる。そしてさらに蝦夷の移配は8世紀後半から9世紀前葉段階のみならず、初期城柵設置される天智朝の段階から製鉄技術導入のために陸奥と近江との間で蝦夷の移配が行われいたことが今回の検討で判明した。
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Research Products
(5 results)