2016 Fiscal Year Research-status Report
古墳時代武装具研究の総合化と古代東アジアにおける政治史・文化史的意義の基盤的研究
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15K02996
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
古谷 毅 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (40238697)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 古代東アジア / 葬送儀礼 / 武装具 / 形象埴輪 / 装飾性 / 伝統性 |
Outline of Annual Research Achievements |
古墳時代は前方後円墳を中心とした葬送儀礼において、武器・武具・馬具(以下、武装具)が大きな比重を占めた時代であり、古墳文化は日本古代国家形成期における社会の安定と成長に重要な役割を果たしたとみられる。一方、日本列島の古墳時代武装具は古代北東アジア諸地域の影響下に成立し、武装具などにおける装飾性の卓越や伝統性などに特色がある。本研究は、古墳副葬品や形象埴輪を中心に、古墳時代武装具の古代東アジア諸地域相互における歴史的位置を明確化する。また、東アジア諸地域や古代の武装具との比較・検討から、日本列島と東アジア武装具の性格および政治・文化史的意義を分析し、日本列島における原始・古代武装具研究の総合化と歴史的意義を解明する研究基盤を確立する。 2年目である平成28年度は、日本列島各地方の主要古墳出土形象埴輪および武装具資料を調査し、基礎的情報の整備を進めた。具体的には、東京国立博物館・韓国全南文化財研究所・韓国大韓文化財研究院保管資料、および福岡県嘉麻市・大阪府高槻市において資料調査を実施した。 一方、事前調査情報を基礎に、資料調査時における研究会・会議において、調査成果の分析・研究報告を行った。また、韓国出土円筒形土器および形象埴輪と古墳時代武装具関係資料を比較・検討し、その政治・文化史的意義の検討を進め、平成29年2月には韓国・慶北大學校において第2回公開合同研究会を開催し、調査研究成果を発表すると共に韓国考古学研究協力者との意見交換を行った。 なお、これらの成果は東京国立博物館の常設展示(考古展示室)および特集展示等の計画および展示にも反映させる準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査研究対象には、従来の研究(基盤研究(C):研究課題12610422,基盤研究(B):研究課題17320127,基盤研究(C):研究課題23520943)で把握した主要な古墳出土形象埴輪のうち、出土状況が明確な資料を分析対象として選択した。平成28年度は、九州・近畿地方を重点的に調査し、福岡県・大阪府などの資料を対象とした。 また、研究計画と研究対象・研究成果等の共有化を図るために、5回(18日間)の調査と共に、各所蔵機関および東京国立博物館において4回(4日間)の研究会を実施し、研究計画と研究対象・研究成果等の調査情報を参加者間で把握すると共に共有化を図った。 このうち、1回は平成29年2月に韓国・慶北大學校において、韓国側研究協力者と共に慶北大學校合同研究会として、公開で「第2回古代韓日古墳研究交流会」を開催した。ここでは、主に平成28年8月に韓国で実施した韓国出土円筒形土器および形象埴輪の調査・分析成果と研究課題を発表し、日本・韓国側双方の評価等について意見交換を行った。また、本研究課題に関する韓国(朝鮮)考古学の研究状況についても、助言を得ることができた。 なお、下半期は東京国立博物館常設展示(考古展示室)および特集展示等と共に、東京国立博物館所蔵資料(列品)の整理を中断したため、本研究の目標を十分には達成で出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画最終年度である平成29年度は、次のような手順で主要資料の調査と既存研究の比較・分析を行う。また、武装具および武装具形埴輪に共通する古墳時代武装具の意義を分析して、東アジアにおける古墳時代武装の位置づけと日本原始・古代における政治・文化史的意義を明らかにする。 第一に、これまでの武装具研究において調査した甲冑多量副葬例の分析を中心に、副葬品構成における武装具の位置づけ(階層性)を復原する。とくに、出土位置が明確な良好な発掘資料を中心に、武装具副葬の組成と実態を把握し、類型化からその歴史的意義を分析する。 第二に、これまでの埴輪研究において分析した各地の古墳出土埴輪群の分析結果を踏まえ、本来の埴輪樹立時の群構成と配置・階層性を復原する。その中でとくに、出土位置が明確で良好な発掘資料を中心に、武装具形および馬形埴輪の組成と実態を把握し、類型化からその歴史的意義を分析する。また、大学院生などの研究支援者を依頼して、継続的に東京国立博物館所蔵資料の有力な形象埴輪資料の整理分析を行い、資料化を目指す。 第三に、連携研究者・研究協力者の協力を得て年数回の研究会を開催する。最終年度である平成29年度は、さらに韓国・中国の研究状況を調査し、日・韓・中の武装具研究の比較・検討を試みる。研究会では適宜、日本古代史研究者および韓国・中国の研究者を招聘し、文献史学や日・韓・中の武装具研究の成果を共有して研究状況の比較・分析を行い、本研究に対する評価・意見交換を実施して問題点の掘り下げを図る。 第四に、平成27・28年度成果の評価を上廻る研究予算運用の効率性・適時性をより高めた研究計画を立て、精度の向上と発展性・独創性及び公開性の拡充と確立を図り、以上を通じて、東アジアにおける日本列島の武装具の性格と政治・文化史的意義のための研究基盤を整備する。
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Causes of Carryover |
東京国立博物館所蔵の形象埴輪資料の調査および整理・分析について、下半期は東京国立博物館の方針により東京国立博物館所蔵資料(列品)の整理を中断したため、研究支援者等の雇用が図ることが出来なかった。このため、年度計画の内部調査において、謝金・消耗品・その他に関する未執行分が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
東京国立博物館所蔵の形象埴輪資料の調査および整理・分析については、平成29年度は計画的に大学院生などの研究支援者等を雇用して、平成27・28年度研究課題の遅れを挽回・確保する。また、資料および収集データの整理・分析を進め、平成29年度の本研究到達目標とした成果と共に、資料化を図る計画である。
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Research Products
(13 results)