2015 Fiscal Year Research-status Report
最適課税論の動向を反映した租税体系をめぐる基礎的研究
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15K03119
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渕 圭吾 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90302645)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 最適課税論 / 制度設計 / 租税法 / 租税政策 / 法と経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては,一般向けの雑誌である「日経ビジネス」の「気鋭の経済論点」というコラムに「『働く意欲』と『税最大化』の矛盾を解決」という記事を執筆することができた(日経ビジネス1828号89頁,2016年2月,構成:広岡延隆記者)。媒体の性質上謝辞を記すことができなかったが本研究の成果であり,本研究がなぜ重要かということを広く知らしめることができた。 このコラムでは,経済学の分野での「最適課税論」という考え方がどのようなものであって,最近どのように進展しているか,また,この考え方が現実の税制改革,あるいは現実の税制に対する評価に,どのように利用されているか,ということを簡潔に述べた。研究計画でも引用したジョージ・アカロフの「タグ付け(tagging)」の考え方についても,紹介することができた。 他方,紙幅の制約があり,例えば,アカロフの「タグ付け」の考え方を現実の制度として利用する場合に,憲法上保障されている人権との関係,また,政府が(正確なものとして)取得できる個人情報との関係で,限界が存在する,といったことについては,残念ながら(原稿段階では書いていたのであるが)公表段階では省略せざるをえなかった。 なお,研究実施計画では租税法関係の講座シリーズに本研究の内容を盛り込んだ論文を提出するとしていたが,同シリーズの刊行が大幅に遅れているために,この論文もまだ日の目を見ていない状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「日経ビジネス」にコラムを執筆して,最低限の研究成果を公表できたものの,租税法講座シリーズへ寄稿した論文がまだ公表されていない。このため,「やや遅れている」と判断した。もっとも,成果公表はともかく,研究自体は順調に進んでおり,28年度以降に挽回することは可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,租税体系全体に関する研究に加えて,個々の税目についての制度設計のあり方について検討した論文を公表していきたい。
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Causes of Carryover |
物品費の見積もりを厳しめにしていたので,若干の残額が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な物品費に充当することを考えている。
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Research Products
(2 results)