2016 Fiscal Year Research-status Report
戦間期における国際海洋法の形成に対する British View の影響と妥当性
Project/Area Number |
15K03143
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
喜多 康夫 帝京大学, 法学部, 准教授 (80307206)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 国際海洋法史 / 国際法典編纂会議 / 漁業紛争 / 英国外務省法律顧問 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の研究実績の概要としては以下のものが挙げられる。 第1に、Londonで開催されたThe 25 Annual SLS-BIICL Conference on Theory and International Law: Beyond Our Comfort Zone? Situating the Authority of international Lawyers, Institutions, & Other International Actorsで、'The Authority of the Legal Advisers to the UK Foreign Office to Develop the International Law of Territorial Waters, 1923-58'を報告した。この報告では、英国外務省法律顧問たちによる海洋法解釈の変遷と国際法専門家共同体との相互作用について論じた。 第2に、A. Zidar and J-P. Gauci (eds), The Role of Legal Advisers in International Law (Brill, 2016) において'The Legal Advice System of the Ministry of Foreign Affairs of Japan: Between Legal Advisers and Foreign Policy Makers' を公表した。この著作においては、第2次世界大戦後の日本外交における外務省条約局/国際法局の役割とその変遷を論じた。本研究計画には直接的な関係はないものの、英国外交における英国外務省法律顧問の役割と比較できたのは本研究計画に有益であった。 第3に、英国公文書館での1930年国際法典編纂会議の資料は収集し終えた。さらにノルウェー公文書館では、1930年国際法典編纂会議に関するノルウェー政府の資料とノルウェー漁業事件に関する資料、特に漁業境界線委員会の議事録を収集した。これらの資料に基づいて、ノルウェーとの漁業紛争を通じたBritish Viewの形成過程を分析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況が当初の計画以上に進展している理由としては、以下の3点が挙げられると思われる。第1に、海外での調査活動がうまくいっていることが最大の要因である。これは代表者の今までの調査経験も活きていると思われる。第2に、研究の方向性が明確であることが挙げられる。この点、今後の研究の発展の方向性もはっきりしてきたことが研究計画の遂行に役に立っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の遂行方策としては、次の2つを遂行していきたい。第1に、今まで収集してきた資料に基づいて、学術的著作物を公表していきたい。 第2に、今までの調査で分かってきたことは、領水に関する国際海洋法の発展においては接続水域に関する英国政府の海洋法政策が重要であるということである。そのため、今後の調査については、国際法典編纂会議後の接続水域に関する英国政府の国際法政策の形成過程を調べていきたいと考えている。
|