2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Criminal Procedure and the Person with Mental Disorders or Intellectual Disabilities
Project/Area Number |
15K03178
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中島 宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00318685)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 刑事訴訟法 / 訴訟能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神障がい者や知的障がい者が被疑者・被告人や証人として刑事裁判に関与する際に生じる訴訟法上の諸問題を検討してその具体的な解決を示すことを目的としたものである。具体的な研究テーマを「精神障がい者・知的障がい者による供述の信用性と取調べ方法」(A群)と「訴訟能力の判断方法と手続き」(B群)に2つに分け、それぞれのケースの収集と分析を行い、隣接諸科学における最新の知見を踏まえた考察を行いつつ、具体的な提言を行うことを目指してきた。 平成28年度に引き続き平成29年度においても、テーマA群については、知的障がい者による供述の信用性が問題となった再審事件を主たる素材として研究を進めた。同事件については、平成29年6月に地裁で再審開始決定が、また平成30年3月に高裁で即時抗告棄却決定が出たが、供述の信用性を弾劾する新証拠の評価を異にしているため、それぞれの妥当性を分析した。その成果は、平成30年5月に電子媒体で公開する予定である。また、これに関連して2017年9月23日、宮崎市において講演「第3次再審開始決定の意義」を行った。 テーマB群については、平成28年12月に訴訟能力の回復可能性を否定して手続きを打ち切る最高裁決定が出た後、全国で公訴棄却や公訴取り消しによる手続き打ち切り事例が発生したため、これらについての聞き取りや資料整理を進めた。また、これとも関係する理論史の共同研究(松尾理論を担当)に参加した。 以上を踏まえ、実務への具体的な提言を示すのが本研究のゴールであるが、最終年度中には成果を公刊できなかった。引き続き論考の執筆を進め、平成30年度中に成果を公にする予定である。なお、本研究の成果を社会実装することを目指し、これらの課題に関わる実務家と研究者の協働のためのプラットフォームの創設に向けた準備として、平成30年3月2日に「鹿児島法と心理研究会」を開催した。
|