2016 Fiscal Year Research-status Report
刑事司法に対する社会の信頼促進を目指す研究―刑事事件再審査委員会の意義と可能性
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15K03179
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 教授 (20406234)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 刑事裁判 / 再審制度 / 第三者機関 / 市民参加 / 裁判員制度 / 被害者参加制度 / 取調べの可視化 / 司法取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はカナダのオンタリオ州において海外調査を行った。まず、カナダの法務省が誤判防止の取り組みとして、裁判所と検察の連携で設置している対策委員会の「The Path to Justice Program」について、担当の法務省職員から説明を受け、検察官教育を担当する検事からの聴き取り調査を行った。さらに、カナダにおいて再審請求の請求理由を第一次的に審査する、法務省所属のCriminal Conviction Review Groupに対しても聴き取り調査を行った。さらに、誤判救済の民間組織であるイノセンス・プロジェクトについて、オタワ大学所属のもの、オズグッド・ホール・ロースクール所属のもの、そして独立のNPOであるInnocence Canadaをそれぞれ訪問し、それぞれの特徴を比較した。また、Ministry of Community Safety & Correctional ServiceのCentre of Forensic Scienceを訪問し、誤判防止のために捜査における法科学がどのような役割を果たすべきかについて説明を受けた。 また、本課題研究の研究成果の発表と今後の研究推進の指針を得ることを目的として、学会や研究会における報告の機会を多く持った。Law and Society Assocation2016年度大会(アメリカ開催)、The Inaugural Asian Law & Society Association Conference(シンガポール開催)において学会報告を行った。また、国内においても、裁判員制度について学習する市民団体である裁判員ACTの開催する学習会等において報告を行った。 さらに、鴨志田祐美弁護士(鹿児島弁護士会)を招へいし、「大崎事件から見える刑事司法の問題点」というタイトルで公開講演会を行った(2016年7月実施)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、海外調査のうち、予定していたカナダ調査を行い、同国における刑事事件再審査委員会や誤判救済の取組について調査を行うことができた。また、研究成果報告として海外における学会や国内の研究会の機会を活用することができた。さらに、研究成果の社会還元という観点から、公開講演会を一回開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は海外調査のうち、アメリカのカリフォルニア州サンタ・クララ群検察官事務所が実践する、検察官による公訴調査ユニット(Internal Integrity Unit)、そしてスコットランドの刑事事件再審査委員会(Scottish Criminal Cases Review Commission)に対する調査を行う予定である。 また、国内調査(再審事件を担当した弁護士への聴き取り調査)を東京、静岡、大阪において行う予定である。 さらに、研究成果の社会還元を目的として、刑事司法制度に関わるテーマについて、専門家を招へいし、一般公開の講演会を開催したいと考えている。 平成28年度は本課題研究実施の最終年度にあたることから、報告書作成のためにも研究成果報告の場(メキシコ、台湾で開催される国際学会を予定)を多く持ち、そこで得られた指針を活用し、研究成果報告書をとりまとめたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度は海外調査をカナダにおいて海外調査を実施したが、一方で、予定していた国内調査(再審請求事件の支援、弁護を行った弁護士に対する聴き取り調査)のうち、東京、静岡、大阪における調査を実施できなかった。平成29年度はこれらについても行う予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は予定していた国内調査、海外調査、また国内外における学会報告のための旅費を使用する予定である。国内調査については、弁護士への聴き取り調査を東京、静岡、大阪において行う予定である。また、国際学会における報告(メキシコ、台湾)、海外調査(アメリカ、スコットランドを予定)のための旅費として使用する計画である。さらに、研究成果の社会還元という観点から、刑事司法制度に関わるテーマについての一般公開講演会を年3回程度開催する予定であり、そのための謝金、人件費を使用する予定である。さらに平成29年度は、本課題研究実施の最終年度に当たることから、研究のとりまとめや報告書作成のための設備品の購入費や印刷費としても使用する予定である。
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