2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03207
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
洪 済植 島根大学, 法務研究科, 教授 (10382590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 支配株主の責任 / 説明義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の科研課題に関する研究の一環として、〝The Reception and Convergence of Corporate Law in Japan”という題名の書評( book review )を英文で執筆した。 本書評は、科研課題に関連する内容として、「ドイツにおける株主および会社の誠実義務の発展」や「ドイツにおける事実上の取締役」の発展」などについて分析・検討を行った学術研究書(高橋英治『会社法の継受と収斂』〔日本語〕(有斐閣、2016年))を英文で紹介したものである。本書評では、ドイツにおいては、少数株主および取引の第三者を保護するべく、アメリカ判例法と同様に、支配株主や親会社(支配会社)の誠実義務が判例法上認められており、一般条項としても重要な地位を占めていることについて触れる一方で、学説上の概念にとどまり、支配株主の誠実義務に関する裁判例が存在しない日本においても会社法上の誠実義務をどのように受容すべきかについて、ドイツ法における株式法上の誠実義務を取り上げて分析検討することにより、その必要性について論理的に提唱していることに学問上の意義が大いにあることを高く評価し、その内容について書評した。本書評は、Interdisciplinary Journal of Economics and Business Lawの6月3日号に掲載される予定である。 また、科研課題に関連する判例評釈として、「クーポンスワップ取引につき証券会社の担当者の説明義務違反が認められた事例――京都地判平成28・4・15本誌1500号28頁――」に関する判例研究を行った。本評釈は『金融・商事判例』7月15日号に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研課題に関する研究の一環として、ドイツの支配株主の誠実義務や事実上の取締役の責任に関する学術論文をまとめた『会社法の継受と収斂』を検討し、英文で書評を執筆し公表したこと、また科研課題に関連する判例評釈を行うことによってその研究成果を公表することができたことから、本研究課題は、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の科研課題に関する研究として、①米国における親会社の責任、②韓国のコポレーと・ガバナンスに関する研究等を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度においても、早稲田大学商法研究会、関西商事法研究会、中小科研研究会などに参加して、科研課題に関する情報を収集してきたが、予定していた研究会に所用で参加できなくなり、次年度使用額(31,680円)が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(31,680円)は、平成29年度の科研課題に関する情報・収集のための旅費に充てることにしている。
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Research Products
(3 results)