2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03214
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松原 弘信 熊本大学, 大学院法曹養成研究科, 教授 (20190499)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法人でない社団 / 当事者適格 / 固有適格概念 / 固有適格構成 / 既判力 / 当事者概念 / 当事者権 / 実体適格 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究実績の概要】 1 科研の研究テーマである「当事者適格の理論的基礎の研究」の第1弾として、「当事者適格概念の理論的基礎と同概念不要説の批判的検討」熊本ロージャ-ナル12号(2016年)1頁-14頁(査読あり)を2016年12月に執筆・公表した。 2 科研の研究テーマである「当事者適格の理論的基礎の研究」の第2弾として、「法人でない社団の当事者適格における固有適格構成の理論的基礎」と題する論文につき2017年3月18日(土)に九州大学で開催された民事手続研究会〔九州〕において報告済みであり、これを5月末締め切りの高橋宏志先生古稀祝賀論文集〔有斐閣〕に掲載することになっており、現在執筆中である。 3 科研の研究テーマとは直接関係がないが、現行民事訴訟法のコンメンタール(注釈書)である高田裕成・三木浩―・山本克己・山本和彦編『注釈民事訴訟法第4巻 第一審の訴訟手続(2) §§179~280』〔有斐閣〕のうち、変更判決(256条)、更生決定(257条)、判決の脱漏(258条)、仮執行の宣言(259条)、仮執行の宣言の失効および現状回復等(260条)の5箇条について分担し解説したものの最終校正を2016年度中に行い、公刊を待つばかりまでこぎつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 2016年度は、【研究実績の概要】1に関して、当初「当事者適格概念の形成と意義――当事者適格の理論的基礎(1)」と題して、5月9日に脱稿のうえ民商法雑誌に投稿したが、残念ながら査読ではねられた。そこで、急遽論文の構想を練り直し一旦脱稿した論文にかなり修正を加えたうえで、題名も「当事者適格概念の理論的基礎と同概念不要説の批判的検討」と変更して熊本大学大学院法曹養成研究科の紀要である熊本ロージャ-ナルに投稿し、査読を経て熊本ロージャーナル12号(2016年)1頁-14頁に2016年12月に執筆・公表した。 2 【研究実績の概要】2の「法人でない社団の当事者適格における固有適格構成の理論的基礎」と題する論文につき、3月の研究報告を踏まえて既に最後まで一通り2万字程度書き上げており、5月末締切りに向け鋭意努力中で順調に推移しており、5月末に脱稿を予定している。 3 【研究実績の概要】3の高田裕成・三木浩―・山本克己・山本和彦編『注釈民事訴訟法第4巻 第一審の訴訟手続(2) §§179~280』〔有斐閣〕については、いよいよ今年(2019年)6月には刊行の予定で、刊行を待つばかりである。なお、私本人の担当部分は1120頁-1204頁である。
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Strategy for Future Research Activity |
1 【研究実績の概要】2の「法人でない社団の当事者適格における固有適格構成の理論的基礎」と題する論文につき、締め切り期限の5月末をめどに脱稿を予定しており、年内 には公刊される予定である。 2 2017年度は科研の最終年度であり、科研の研究テーマたる「当事者適格論の理論的基礎の研究」の一環に資する研究を継続的に行うとともに、更なる研究の進展の糸口をつかめるような研究を行いたいと思って準備を進めている。具体的には、「判決効を受ける第三者の再審当事者適格の理論的基礎(仮題)」という題目で論文を書く計画である。最近対世効を有する会社訴訟上の訴えにおける第三者の再審原告適格に関する2つの注目すべき最高裁判例が登場し、独立当事者参加による再審原告適格を認める考え方を示している。他方以前に、同じく対世効を有する人事訴訟上の訴えたる検察官を被告とする死後認知訴訟において再審被告適格に関わる旧法下の最高裁判例があり、再審被告適格を否定する一方で、補助参加による再審の訴えを肯定しており、その後人事訴訟法において上記判例の立場に基づき立法的解決が図られた。そうしたなかで、判決効を受ける第三者の再審当事者適格が問題となる会社訴訟と人事訴訟上の上記判例を素材に、独立当事者参加による再審原告を肯定する見解と再審被告適格を否定し補助参加人による共同訴訟的補助参加のみを認める見解とで、手続保障面でどのような違いが生ずるか、その点につき人事訴訟か会社訴訟かで扱いを異にする合理性があるのか等について考察したい。しかも、その際に当事者適格論の理論的基礎の視点から当事者総論(当事者概念、当事者権、二当事者対立構造)との有機的連関を明らかにする研究を、熊本ロージャーナルの14号に執筆する方向で準備を進めており、今年の10月か11月をめどに脱稿し、2度の校正を経て、2017年度中には公刊の予定である。
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Causes of Carryover |
現在熊本大学大学院法曹養成研究科長としての仕事をしながら、研究・教育を行っており、日々の仕事に追われて、外国等の出張や文献購入ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である今年度は、できるだけ早めに国内出張や文献購入を精力的行いたい。
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