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2016 Fiscal Year Research-status Report

亡命法学者と私法における法移転

Research Project

Project/Area Number 15K03238
Research InstitutionDokkyo University

Principal Investigator

小野 秀誠  獨協大学, 法学部, 教授 (30143134)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords亡命法学者 / 法律 / 民法 / 比較法研究所 / 留学生招致事業 / 国際交流 / 司法省資料
Outline of Annual Research Achievements

亡命法学者であるラーベル、プリングスハイム、M・ヴォルフ、シュルツ、カントロヴィッチ、ラインシュタインなどは、亡命当時すでに学界において重きをなしていたことから、その弟子にも、戦後学界の重鎮となり、戦後の法学界を先導した者が多い。亡命法学者には、ドイツに帰国しなかった者もいるが、その場合には亡命先においても弟子を残している。戦後、これらの亡命法学者と弟子、亡命先との連携的な業績が残されていることが確認された。
学問的な影響だけではなく、その際に確立された法の交流や研究施設や制度の詳細をも確認、検討することができた。戦前は、圧倒的にアメリカからドイツに留学する例が多く、ドイツ語で博士論文が作成されたが、戦後は、次第にドイツからもアメリカに留学することが増大した。交換制度の転換、基礎づけに与えた影響が確認された。
また、当初予定していたドイツの諸大学における調査研究だけではなく、各州の司法省や弁護士会、公証人会などにも、かなりのまとまった調査報告書があることが確認された。さらに、日本法における亡命法学者の影響に関する文献調査を行った。
亡命の実態を探るために、1980年代に、1930年代に亡命したユダヤ系法学者について検証しているボン大学において、検討の基礎となった資料の調査を行った。また、近時の司法省による歴史の再検討作業に関連した資料の調査をし、これに関して多方面の研究者と意見を交換することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

理論面での解明は、おおむね順調で、研究開始当初に予定した方向性が確認できたが、基礎資料の発掘にはかなりの困難があった。現地調査の結果、1990年から1999年前後に行われた報告書の原資料は、部分的に発見できないものもあり、調査依頼もしている。しかし、代替資料をみつけたり、その後の新しい報告書に拠る方が簡明な場合もあった。近時の連邦司法省による歴史の再検討作業に関連した資料をえたのも有益であった。また、当初予定しなかった各州の司法省資料も発見しえた。

Strategy for Future Research Activity

亡命法学者とその弟子にあたる主要な研究者、亡命法学者の亡命先の研究者やその弟子との連携による戦後の国際的な連携作業をより新しい時代についてまでフォローすることとしたい。亡命法学者の弟子には、戦後ドイツの法学界で重鎮となり、戦後の法律学を先導した者が多い。亡命が、これらの弟子に与えた影響は、亡命法学者自身の戦後の影響以上に大きく、現在の制度にも直結している。こうした影響は、日本でも従来必ずしも評価されてこなかった。その見直しを行う。
また、ドイツでは、2012年以降、歴史の全面的な見直し作業が行われおり、そこでは、亡命法学者に関する新たない知見が明らかになりつつある。ドイツの検討作業をも参考として、日本法でも、亡命法学者の学問的な影響を検討する。
日本には、ナチスの民法学と、それ以外の者、とくに亡命法学者の民法学との二重の影響があったが、その相互の関係を外国法から影響をうけた日本法の業績についても検討する。
昨年に引き続き、ボン大学の亡命に関する調査報告書や、その元資料の検討を行い、関連情報の収集をも行う。
昨年の調査で、各州の司法省や弁護士会、公証人会などにも、かなりのまとまった調査報告書があることが確認されたので、それらを収集するとともに、できるだけ報告の元になった原資料も調査する。

Causes of Carryover

予定された本の出版が遅延したため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

予定された本 (Beck,Text BGB)が出版されしだい購入する予定である。

Research Products

(5 results)

All 2017 2016

All Journal Article Book

  • [Journal Article] フィッケンチャー (Wolfgang Fikentscher, 1928.5.17-2015.3.12)とドイツ民法2017

    • Author(s)
      小野秀誠
    • Journal Title

      国際商事法務

      Volume: 45巻2号 Pages: 306-307頁

  • [Journal Article] ウィーン条約と日本法・序説2016

    • Author(s)
      小野秀誠
    • Journal Title

      獨協法学

      Volume: 100号 Pages: 1-25頁

    • Open Access
  • [Journal Article] 19世紀後半以降のオーストリア法の変遷と民法2016

    • Author(s)
      小野秀誠
    • Journal Title

      一橋法学

      Volume: 15巻1号 Pages: 217-252頁

    • Open Access
  • [Journal Article] プロイセン上級裁判所とライヒ大審院2016

    • Author(s)
      小野秀誠
    • Journal Title

      獨協法学

      Volume: 101号 Pages: 21-55頁

  • [Book] 法学上の発見と民法2016

    • Author(s)
      小野秀誠
    • Total Pages
      542
    • Publisher
      信山社

URL: 

Published: 2018-01-16  

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