2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K03307
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究センター長 (40466066)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治体制 / 東南アジア / 民主主義 / シンガポール / インドネシア / 選挙システム / 一党優位支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで進めてきた理論の検討、データの整理、実証作業の進展をさらに進めた。特に、東南アジア5カ国のうちシンガポールについてデータの整理と論文執筆を行った。社会経済的な変化が一党優位体制に対する有権者の選好に与える影響について実証した論文をまとめ6月に比較政治学会研究大会、10月にシンガポール国立大学でのワークショップで報告を行った。あわせて本論文を所属するアジア経済研究所のDiscussion paperとして公開した。こうした研究報告の機会を通じて、シンガポールの有権者、投票行動に関する質的な情報を追加的に収集することができたとともに、検証の方法についても、より正確な高い検証方法を提案されることとなり、分析の精度を向上させることができた。 また、東南アジア全体に関する民主主義の分析についても作業を進め、10月にジャカルタで開催されたインドネシア社会科学院(LIPI)の国際シンポジウムにおいて「Social Sciences and Sustainable Democracy」というタイトルで講演を行った。所得格差の問題とともに宗教的な亀裂が再び深化しているインドネシアの状況について具体的な知見を現地の専門家たちから受けることができ、亀裂の交錯について再検討する必要性を認識することになった。 加えて、年報政治学2018-IIに選挙システムに関するシンガポールの有権者の評価を分析した論文を掲載し、研究成果の公開において進展を見ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特にシンガポールに関して質の高い世論調査のデータが入手できたため、一党優位体制における有権者の選好を実証的に検証するという新たな研究上の貢献が可能になった。シンガポール、インドネシアでの現地専門家との意見交換や学会報告を通じた検証方法の再検討などによって研究の質向上が進んだと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年のマレーシア、2019年のタイ、インドネシア、フィリピンと、本研究事業の対象国において重要な選挙が実施され、こうした選挙を通じて、社会経済的な変化、特に所得による社会の亀裂と投票行動、政党システムの変化など、実証的に観察される機会が提供された。こうした機会をとらえて、理論の検証を進めていく。
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Causes of Carryover |
2019年に研究対象5カ国のうち少なくとも3カ国において選挙が見込まれ、本研究事業の実証においてその観察の必要性が高いため、事業の延長を行った。その費用を次年度使用額として繰り越した。
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Research Products
(5 results)