2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森井 裕一 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (00284935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙石 学 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (30289508)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 財政規律 / 連邦制度改革 / 欧州化 / 政策の相互参照 / 緊縮政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は財政規律の制度が規定されたプロセスの分析を、とりわけドイツとポーランドを中心として行った。 ドイツについては、憲法(基本法)第109条や115条の関連条項が制定されたプロセスを検討した。当初はより早期に規定されてたポーランドやスイスなどの財政規律条項がどのような意義を持ち参照されたかを調査する予定であったが、実際に政治過程と憲法改正のプロセスを調査してみると、財政規律問題が連邦政府と州政府の権限関係の再定義、いわゆる連邦制度改革問題として議論されていることがはっきりとわかった。ドイツの連邦制度改革は数次にわたって大規模なものがおこなわれているが、財政規律問題は直近の大規模改革の最大のポイントの一つであった。その結果、EU内の他国の制度の参照などはなされておらず、あくまで望ましい連邦制と財政制度という視点から議論され、制度が構築されてきたことがわかった。関係するアクターは議会の連邦制度改革を専門とする議員と連邦参議院(州政府から構成される議会)の州首相らが中心となっていた。連邦制度改革については大部の報告書と資料が存在しており、それを議会議事録とつきあわせるなどしながら分析を行った。 ポーランドについても、憲法規定の制定過程とその後の財政規律ルールの制定過程の分析が行われた。 さらに、欧州化と財政条約の制定過程についても、ドイツとポーランドをはじめとする主要諸国について分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していなかった難民危機とフランスでの多発テロ、年度末にはブリュッセル多発テロが発生し、ヨーロッパの治安状況は大きく変化した。政治家や政策担当官僚、EU委員会関係者などへのインタビューも計画では検討していたが、年度中には政治的な緊迫状況もあり実現できなかった。文献や議会資料など入手可能な資料の分析は順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献等資料の入手と分析を進める。欧州における聞き取り調査と専門家との意見交換も実施する予定である。EU関係者からの聞き取り調査については、テロ等の治安状況に十分配慮しつつ、検討する。
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Causes of Carryover |
ドイツへの難民の大量流入や欧州諸国でのテロが発生など、調査対象となる諸国の政策担当者・研究者との日程調整が極めて困難となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
治安状況や政治状況の安定化を見て、適宜旅費を使用する。
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Research Products
(10 results)