2017 Fiscal Year Annual Research Report
Assessing the impact of the right to collective self-defense on Japan's security environment
Project/Area Number |
15K03334
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
栗崎 周平 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70708099)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 集団的自衛権 / 同盟 / 抑止 / 安全保障 / 国際紛争 / 平和 / データ分析 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
集団的自衛権の行使容認を始めとしたわが国の防衛政策の大きな転換に際して、その政策効果の実現可能性や実効性についての検証が、政府機関におかれて行われていない、あるいは行われた形跡がないことを動機とした研究課題であった。したがって、この研究課題では政府が主張する政策効果を国際政治学においてこれまで蓄積されてきた分析枠組みや知見の中で検証することを目的とした。具体的には、集団的自衛権を行使容認することによって、抑止力が向上するのか、安全保障環境は良好なものに変化するのか、同盟コミットメントの信頼性が向上するのか、これらはこれは過去に類似の事例がないため、ゲーム理論を用いて同盟理論および同盟を前提とした場合の抑止理論の枠組みの中で分析した。その結果、抑止力向上は原理的には導かれることはなく、安全保障環境は好転することもあるがそれには日本国政府が平時より高圧的な外交を進めることが条件として必要であるとの分析結果を得た。これらの結果は国内外の学会や研究会で報告し、その成果は学術的には英語と日本語で刊行し、一般向けには日本語で解説する機会も得た。その結果、実務関係者を含め反響があり、各方面で勉強会や講演に招待されるに至るなど、社会にも「研究成果として得た専門知」を還元できたと考える。他方で、同盟の信頼性向上につながるかについての理論分析は現在はまだ分析が進行中である。このような理論分析に加えて、「集団的自衛権行使容認の効果」を「同盟における防衛義務の双務性の有無の効果」として問いを変更することで、歴史的事例を集めて、政府が主張するような効果が得られるのかデータ分析を行った。具体的には、双務的な同盟義務履行の信頼性を高めるのか、他国からの攻撃や外交的挑発を誘発するのかを検証した。論文に詳述したが、政府の主張を裏付けるものもあれば疑義を与える実証結果も得た。現在海外の専門誌で査読中である。
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Research Products
(7 results)