2020 Fiscal Year Research-status Report
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15K03365
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
井上 智洋 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90547093)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2022-03-31
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Keywords | 内生的成長 / ニューケインジアン / 内生貨幣供給 / ゼロ金利制約 |
Outline of Annual Research Achievements |
デフレ不況が企業のデフレマインドを通じて長期的にマクロ経済にどのような影響を与えるかという点について、井上智洋(2021)『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』(NHK出版)の第4章にまとめた。 すなわち、企業がデフレマインドに陥ることによって、投資を抑制し、賃上げを行わず、内部留保を増大させるということだ。投資が抑制されれば、イノベーションが引き起こされない。これが、低成長の一因となっており、日本がIT革命(第三次産業革命)やAI革命(第四次産業革命)に乗り遅れた原因でもあると指摘している。 また、名目賃金は一般に下方に硬直的であり、上方により伸縮的である。だが、デフレが長く続くと企業は景気が悪くなっても賃金が下げられないことを懸念するがために、賃金を引き上げなくなり上方にもより硬直的になる。それが失われた30年の間、日本経済における賃金が上昇しなかった要因であると述べている。 昨年度同様に、「ラーニング・バイ・ドゥーイングモデル」と「ニューケインジアンモデル」を統合したモデルを構築し既に論文にまとめているが、まだジャーナルへの投稿はできていない。 「クオリティー・ラダーモデル」や「人的資本モデル」などの内生的成長モデルと「ニューケインジアンモデル」との統合についても論文を書こうともくろんでいるが、全く手つかずの状態である。 別件の人工知能が経済に与える影響やベーシックインカム、コロナ危機に関する仕事の依頼が多く、本研究は全体的にあまり進んでいない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
人工知能が経済に与える影響やベーシックインカム、コロナ危機に関する講演やインタビュー、執筆などを依頼されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の進捗が遅れているので、講演やインタビュー、執筆などの仕事を減らすことによって、進捗を速めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ危機のために海外主張ができずに、研究費をあまり利用しなかったので、補助事業期間延長を行った。海外主張の他に、パソコンやソフトウェア、書籍などの購入を行う予定である。
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