2017 Fiscal Year Research-status Report
組織における共通の主観的確率の形成と「阿吽の呼吸」:組織の限定合理性の理論と実験
Project/Area Number |
15K03370
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井澤 裕司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70222924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
岡村 誠 広島大学, 社会科学研究科, 名誉教授 (30177084)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | カント均衡 / チーム生産 / 集団的意思決定 / 共感 / 実験経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
チーム生産を行う組織がcoordination failureに直面したとき、それを緩和するひとつの方策として、明示的な言葉による指示やコミュニケーションではなく、構成員の共通認知を前提とした暗黙的なコミュニケーション(「阿吽の呼吸」)による方が効率的である場合があり得ることを、理論と実験によって検証する。 パレート順序付け可能な複数のナッシュ均衡が存在する実験的状況を想定し、下位の均衡から上位の均衡へ移行するための条件を明らかにする実験的状況を構築した。我々は、カント型主体とナッシュ型主体の混在するゲームにおける均衡条件を導出することに成功し、社会的厚生に関する理論的命題を導出した。特に我々の理論的結果を踏まえ、ナッシュ型とカント型に区別された目的関数を持つ経済主体が混在する場合と同一の場合に集団的意思決定が異なるか否かを実験的に明らかにする公共財供給ゲームのシステムを構築する準備を行った。また、自らの利得の最大値や最小値などの組み合わせは相手の戦略には依存しないが、相手の利得と全体の利得は相手戦略に依存する利得表の組み合わせを対象としたコンピュータ対戦ゲームを準備し、対戦相手の戦略に対する主観的確率を実験的に計測するするとともに、「想定外の事象」への対応を検証するために、ノイズを導入した実験の可能性を検討した。 さらにカント均衡の理論的含意を検討し、アダム・スミスの示唆した「共感」が出現する条件を明らかにするとともに、その応用についても、新たな研究の方向性を示した。たとえば人工知能が人間に「共感」を示すための条件が得られる可能性を検討し、その社会的応用について人工知能学会で報告することが確定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験システムの構築のために時間を要し、被験者を募集する時間的余裕がないため、最終実験の実施に遅れが生じた。すでに理論モデルについての論文は最終段階を迎え、実験の結果を検討する段階にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
予備実験はすでに終了し、本実験を実施する段階にある。
|
Causes of Carryover |
実験システム開発の遅れにより、被験者募集に遅れが生じ、最終的な実験を実施することが出来なかった。すでに経済実験の準備は終えているので、助成金については経済実験の実施に使用する。
|
Research Products
(4 results)