2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03429
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金京 拓司 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (50527637)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 金融脆弱性 / 金融発展 / 東アジア / 地域金融協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、①東アジアの金融発展及び金融統合の実態把握、②金融発展・金融開放及び資源価格変動の経済効果の実証分析、③東アジアの金融発展・統合の推進に向けての政策提言の3つである。 本年度は、①及び②に関連して、米国の金融ショックがアジア諸国を含む各国の銀行の貸出行動に与える影響を銀行レベルの財務諸表データを用いて検証する実証分析、ならびに銀行レベルの財務諸表データを用いて銀行の倒産確率の予測を行い、金融セクターの脆弱性を計測する実証分析など行い、それぞれ査読付き国際学術誌において論文を刊行した。 また、データサイエンスの手法を経済分析に活用する可能性について、工学系研究者と共同研究を開始し、アジア諸国を含む全世界の銀行レベルのデータを用いた銀行倒産や企業倒産の予測と金融セクターの脆弱性の計測に関する実証分析を行い、現在論文を執筆している段階である。 さらに、京都大学東南アジア研究所が主催する「東南アジアにおける商業銀行セクターの地域横断的大変容の実態把握」に共同研究者として参加し、ASEAN銀行セクターの現状と課題に関する調査分析を行った。その一環として、シンガポールにおいて主要な地場銀行を訪問し、聞き取り調査を行うとともに、上記③に関連して、ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィスにおいて、アジア域内の金融セクター育成に関する地域協力の可能性について研究報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により、研究計画に従って、研究目的の達成が概ね順調に進展していると考える。すなわち、①主な研究目的に関連した研究成果を2本の論文として、査読付き国際学術誌で刊行している、②学外研究会の参加や海外現地調査を通じて、アジア域内の銀行セクターの実態に関する理解が深まり、その成果が次年度以降の研究成果に反映される見通しである。
|
Strategy for Future Research Activity |
第3年度は、引き続き研究計画に従って、第2年度までに終了しなかった実証分析や現地調査を終え、その研究成果を学会・研究会で報告するとともに、学術誌で論文として刊行することを最終目標とする。また、政策当局者との意見交換を通じて、アジアの金融発展や地域協力の促進に関する政策形成に学術的見地からの貢献を目指す。
|
Causes of Carryover |
旅費が当初の見込みを下回ったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に従って、学会参加や海外調査のための旅費、論文の英文校閲、学術誌への投稿料、PC関連の消耗品の購入などに使用する予定。
|
Research Products
(2 results)