2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03495
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
松尾 美紀 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (50437282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 康信 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30437280)
堀 勝彦 琉球大学, 法文学部, 准教授 (50635018)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人的資本 / 児童労働 / 貧困の罠 / トリガー戦略 / 補助金 / 経済発展 / 外部性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、低開発地域における人的資本蓄積に関する理論研究を行っている。児童労働と貧困の罠の発生メカニズムを明らかにした新しいモデルを前年度に構築しており、平成28年度は政策分析を行った。政府が教育投資を増やすために、児童労働を禁止したとしても、教育支出の奢侈品という性質から所得減少に伴う所得効果のために教育支出は大きく減少する。その結果、児童労働削減のための政策としては、最貧国においては効果がえられない。そこで、教育補助金を出すなどの教育政策について分析を試みた。その内容は、補助金調達のための財源の違いによる家計の教育投資に与える影響や、条件付き補助金政策の効果について検討した。 また、教育の外部性を内部化しているため、教育に金銭的な支援をする場合、一括税によって財源を調達したとしても、同様のメカニズムが働き、教育投資が必ずしも増加するとは言えないことを示した。これらの研究は低開発経済地域における有効な教育政策の在り方を検討するうえで重要なインプリケーションを与えるだろう。 また、もう一つの研究プロジェクトである低開発経済における教育投資に関する研究を今後進めていく予定である。平成28年度は、研究分担者との打ち合わせを重ねており、先行研究との違いを確認し、親の教育に対するインセンティブが,先進国とは異なる点に着目し、簡単なモデル設定を行った。平成29年度はこちらのプロジェクトをメインに研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育投資と教育の外部性による貧困の罠の発生メカニズムに関するプロジェクトは論文執筆に至っており、投稿するための準備を進めている。もう一つのプロジェクトである、貯蓄手段としての教育投資と世代間の利益相反を設定した人的資本蓄積に関する研究にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
一つのプロジェクトに関しては、前年度までに得られた結果を国際学術雑誌に投稿する予定である。もう一つのプロジェクトに関しては、基本モデルを構築し、低開発経済特有の教育投資行動について分析する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が京都の大学に移ったため、学会や研究打ち合わせにかかる旅費等諸費用が当初の予定より抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
削減できた研究費を、成果報告などの旅費に充てる。また、当初研究費の面から制約されていた研究打ち合わせの回数を増やし、積極的に議論を重ねたい。
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