2016 Fiscal Year Research-status Report
エルギン伯爵日英条約以降のスコットランド人の日本デイアスポラ(離散共同体)研究
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15K03588
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
北 政巳 創価大学, 経済学部, 教授 (90063924)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大英帝国 / 19世紀海洋アジア / 蒸気船時代 / 技術移転 / スコットランド / 幕末明治日本 / 外国人居留地 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本各地の旧外国人居留地(長崎、横浜・東京、神戸・大阪、函館)の研究の進展がの中で、幕末明治のスコットランド人の各地での技術・ビジネスの貢献が明らかになりつつつある。私の研究は第八代エルギン伯爵の日英通商条約後の、スコットランド人(外交官、技師、教師、宣教師、銀行家、ジャーナリスト)が来日したかにあったが、今や、その土台の上にスコットランド人の各地への進出が究明されつつあるのは大いに励みになる。私としては自身の研究の集大成を図りたい。、 研究講演活動は、補助金により、2016年7月ハワイ大学にて研究講演(The Life of Henry Dyer 1848-1918, the first Principal of Tokyo University and the father of Modern Technology in Modern Japan)を講演し、その後同大学の歴史学者と懇談し、スコットランド商人が19世紀中葉のハワイにまで進出していたことが分かった。また2017年3月マレシアのクアラルンプールにあるモナッシュ大学経営学部で講演。現地の歴史学者と懇談、19世紀中葉のスコットランド技師、商人の活動を調べることができた。 論文としては産業革命遺産研究との関係で「明治期日本の産業革命遺産とスコットランド人技師・教師の貢献The Industrial Heritage of Meiji Japan, Role of Scottish Engineerto make Japanese Succeed in learning the Western Technology)を『創価経済学論集』に投稿した。その他、私の執筆8項目を含む『スコットランドを知るための65章』(明石書店)が再版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幕末明治に日本へ到来した英国(特にスコットランド)人は、19世紀中葉にスコットランド系のP&O.B.I蒸気船会社の船舶に乗り、インドから中国を経て日本・長崎へ到来した。彼らのネットウークを調べる。ハワイ、マレイシアの調査により、かなり当時の歴史像を考察できた。アジア各地の大学図書館や公文書館の協力で、19世紀中葉の英国系新聞記事の収集から、航海会社の記録をしり交易されていた物品、また日本人の渡航記録も見つけることが出来た。これは幕末明治日本の国際舞台からの解明に大きく貢献できる研究となりうると確信する。 ちょうど明治維新150周年を迎えての様々な行事があると聴いている。私は明治維新前後の幕末明治日本とスコットランド人(外交官、技師、牧師、商人)のかかわりかたを追求して、世界各地にスコットランド人が形成した離散共同体(ディアスポラ diaspora)から研究をまとめたいと願っている。その意味でスコットランド人に明治日本での長崎、神戸、横浜、函館等への定住活動は、現在世界で進行中の様々な少数ながら活力あるグループのダイナミズム(離散共同体)研究の古典例研究と確信する。
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Strategy for Future Research Activity |
最後の1年を迎えて、今までのスコットランド研究の集大成を試みたい。特に日英通商条約を締結したエルギン伯爵一族とアジアの関係を中心に研究をまとめたい。そのためには本場のスコットランドのグラスゴウ、スターリング、セント・アンドリュー、エディンバラ、アバディーンの大學資料室や公文書記録館とのコンタクトを通じて、19世紀中葉にスコットランドから世界へ派遣された外交官、宣教師、技師、銀行家、教師、商人のネットワークの体系的把握を進めたい.さらに3つのスコットランド人移住民の流れ、アメリカ経由、インド・中国経由、蒸気船で直接英国から日本へ到来したグループの動きを、当時の新聞や情報に基づいて精査し関連を調べたい。特に日本以前に彼らがスコットランド人離散共同体を形成していたインドのコルカタや中国の香港・上海との関連を究明した。なぜなら19世紀後半の日本が明治維新を迎える時には、すでの蒸気機関車・蒸気船・電信の発明・発達により、極東の日本でそれらが繋がり、世界史の新しい流れに向かう舞台が作られていたことになる。それが明治維新の背景にある。そこで到来したスコットランド人がどのように繋がっていたかを、国内の横浜、長崎、神戸、函館の資料館や地方歴史研究家とのコンタクトを続け、研究をまとめあげたく願っている。
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Causes of Carryover |
昨年度の補助金の残余を繰りこしていただき、今年度に研究用のPCを購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進展が見られた
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