2016 Fiscal Year Research-status Report
政治的忌避態度の形成プロセスに関する国際比較実証研究
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15K03812
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 英弘 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (20431661)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 政治参加 / 社会運動 / プロテスト / 政治参加許容度 / 政治的忌避態度 / 政治的社会科 / 国際比較 / サーベイ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当該研究課題のメインとなる日本、韓国、ドイツ、アメリカの4カ国にわたるt調査票調査を実施した。前年度までの検討内容もふまえ、政治参加経験、政治的態度、集合的な利益表出に対する態度、社会運動やプロテストに対する態度と参加意思などのトピックを中心に調査票を構成した。また、各国で人々が想定する政治参加や社会運動が異なるという問題に対処するために、具体的な状況を設定して質問するビニエット調査の技法を導入した。現在、調査データの処理と予備的分析を進めており、次年度からは本格的な分析を行う予定である。 このほか、研究代表者自身がこれまで行った調査の再分析を通して、いくつかの成果を挙げた。第1に、日本において人々の社会運動や抗議活動に対するイメージ(怖い、効果的)が、他の政治・社会意識との関連からどのような位置づけにあるのかを検討した。分析の結果、年代によって、政治・社会意識と運動に対するイメージとの関連パターンに相違はみられなかった。しかし、20代の若年層では、社会運動の効果や影響を認める傾向にあり、その背景には既存の社会制度と同様に社会運動を受け入れる態度がみられる。これに対して、60代の高齢層では、エリート挑戦的行為として社会運動を評価していることが見て取れる。、 第2に、日本、韓国、ドイツの3カ国の比較分析から、プロテストが許容される政治的態度の条件を分析した。運動の代表性、有効性、秩序不安性という3つの態度の組み合わせの効果を検討したところ、各国とも有効性を必要条件としつつ、他の条件が付随することが明らかとなった。また、日本においては、運動の有効性に対する評価が低く、示威的な抗議形態については、代表性をもたない少数者の主張であるがゆえに許容されるという特徴がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定通り政治参加と政治的態度に関する4か国の調査票調査を実施することができた。また、このデータの処理を進め、本格的な分析を行うための準備が整った。したがって、当該研究課題についてはおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まずは調査データの分析を進めていく。分析の柱となるトピックは、政治参加行動の経験、集合的利益表出に対する態度、社会運動に対する態度と参加意思、政治的態度の形成プロセスであり、それぞれの実態および規定要因を国際比較分析によって解明していく。さらに、分析結果をふまえて、政治的態度と政治参加行動との関連メカニズムを明確にした理論的モデルを構築し、各国の政治参加の特徴を統合的に理解する議論を提示したい。 なお、得られた成果については、随時、学会報告、論文投稿、著書のかたちでの公表を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は研究課題の核となる質問紙調査の実施に注力し、そのために予算額も本年度に集中させていた。しかしながら、調査会社に委託した結果、調査の費用が想定よりも低価格で実施することができた。そのため、調査費用として見込んでいた分の一部を次年度に繰り越して使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度ということもあり、研究成果の公表のための学会参加旅費、英文校閲などの論文投稿準備費用に充てる。また、分析の状況に応じて、これまでの調査を補完するための追加調査の実施も検討している。
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Research Products
(7 results)